小毒なボッチ思考にゃん(ΦωΦ)

タコとヤカン

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季節の変わり目になると、思い出すことがある。
10年以上前になるので、春だったのか秋だったのか記憶に定かではない。
その時いくつだったか忘れたけれど、とにかく季節の変わり目だった。
田舎には組合というものがあるのだけど、班長がという名の世話役が当たっていた。
大きな集まりの時は、お茶や軽食や会場準備や、とにかく色々と手間がかかった。

その日。
一週間後に大きな集まりが予定されていて、準備が色々あって少しずつ道具も揃えてチェックしていた。
たまたま組合のヤカンが壊れていたので、新品を注文して取り寄せた。
買ったばかりのヤカンは、すぐに使用すると金臭い。
何度か沸騰させては水を変えて、金属の匂いをとる。

そろそろ匂いが消えたか確かめてみようと言って、加湿も兼ねて石油ストーブを使ってお茶を入れるためのお湯を沸かしていた。
沸騰したころに土間に戻ればいいやと気軽な感じで、祖母も母も私もヤカンから離れていた。
なにせ、やることは他にもある。

そこへ、外出していた父が帰ってきた。
「お~い、お土産だ」なんて言っても、奥でみんなゴソゴソしているから出迎えたりしない。
集まりは来週とはいえ、学校や仕事のすきまで準備できるのは、休日であるその日だけなのだ。
神出鬼没の父を、相手にしている時間はなかった。
用もないのに呼ばれたって、やってることが途中になるのはいやだ。
きりがよくなるまで返事だけして、父は全員が無視です。

せっかく塩もみして、あとは茹でるだけのタコを持ち帰ったのに!!

そう思った父は、ふと気付いた。(らしい)
目の前で、ちょうど都合よくお湯が沸いてるではないか!
ラッキー☆ とばかりに、ヤカンの中に、タコ投入!!

加熱されたタコがどうなるか?
指が入る隙間がないほど、ぴったりヤカンの中身に同化しました。
クルンと足が丸くなって、湯に通すと形状記憶状態で、全身が固くなる。
グネグネと軟体なのは生の時だけ。
ヤカンにジャストフィットしたまま、弾力のある身体はピクリともしない。

ここまできて母や私がその場に戻り、大参事に気付いて阿鼻叫喚。
どうにかしろと言われても、タコ、ヤカンの中にすっぽりはまって動かない。
水を入れて冷やしてから手でつかんで引っ張っても、ヤカンの丸い肌にそって、タコが隙間ない状態で詰まっている。
しかもですね、ヤカンって開口部が小さすぎて、包丁が入っても突き刺すだけになる。
そう、切り刻めない訳ですよ。
タコ、弾力がありすぎるし。

ほんにシャレにならない。
しかも、ヤカンは我が家の持ちモノではなくて、組合全体のもの。

おのれ、パパ! 
ちゃんと鍋もあるのに、ヤカンにそのままタコを突っ込むのが意味不明。
そこに湯が沸いていたからと、そこに山があったからと同じ調子で言われても、白い目しか向けられない。
しかも、やっちまったからどうにかしろって、私や母に投げられても迷惑なのだ。
タコと格闘なんてしたくないのに~!

タコ、それからどうなったか?
一時間以上の思考錯誤の上、小さめの万能ばさみで切り刻みました。
よかったね、タコ。ちゃんとご飯になれたよ。
ヤカンの中で存在を抹殺され、廃棄される運命は回避できました。

しかし、ヤカンそのものはご臨終です。
ヤカンとしての機能は生きていても、タコの匂いとあくが注ぎ口の細い部分にこびりつき、洗っても落ちないのだ。
お茶を沸かしても、どこまでもタコの匂いがして、お茶にならない。
とても飲めたものではなかった……

サヨナラ、ヤカン。
使用法を全うすることはありませんでした。
次の日から、祖母のジョウロとして再利用されていました。

組合用のヤカンは、別に買ったようです。
母曰く、夜中に父が金物屋さんへと車を走らせたそうです。
当日に間にあったから、まぁいいか、ですが。

ヤカンは調理器具ではありません。
タコをゆでるときは、みんなは鍋を使ってね☆

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