「詩集 ヤマアラシのジレンマ」
詩集 ヤマアラシのジレンマ 4

でもね やっぱり彼が好き

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恋に恋するような
そんな時間もありました

たとえば足が速いとか
元気がよくて目立つとか
ニコニコと笑うあの人を
クラスみんなで好きだと言いあって
恋に恋することがお約束

友達同士の証のような
そんな幼い恋の話は楽しかった

みんなが好きなあの人を
私も好きだと言いながら
気がつくと勝手に目が追う彼がいて

足はちっとも速くないし
すぐにどもって面白いことも言えないし
ひょろりとしてちっともかっこよくないんだけど

本の話をしはじめたら止まらなくて
算数がわからなくて居残りしたら
トツトツした口調で公式を教えてくれて

私が泣き言を言ってあきらめようとしても
最後まで付き合ってくれるような彼だから
いつも目が勝手に追いかけるばかりだったの

最近は彼とよく話しているねと言われても
私より本の好きなあの子たちとはもっと話してるよねと
簡単に納得してもらえる答えが出せる毎日だった

恋なんて 恋なんて よくわからないけど 
きっと私の初恋は 人気者のあの人ではなくて
ひっそりと隅っこで活動しているだけの彼でした

いつの間にかランドセルがいらなくなって
真新しかった中学の制服もすっかりきつくなって
どこの高校を受験するかが話題の中心になっていて

それでもみんなの人気者のあの人は
変わらず女の子から好きだと言われていけど
友達と同じように好きだと言う必要もなくなって

今は受験前の大切な時期だからって
なんとなくあいまいな言葉でごまかしているけど

彼はやっぱりひっそりと隅っこで本を読み
わからないのと参考書片手に問いかけてみれば
朴訥とした口調で解説してくれることも変わらず

わかってしまう 自分の気持ち
でもね ドキドキしてるのは私だけ

この気持ちは紛い物だと思いこみたいのに
いつだって目が勝手に彼を探して追って見つけ出す

きっと 違う高校に通うことになって
別々の時間を歩むことになってしまって
彼との時間が交差することもなくなって
いつかどこかですれ違うなんて夢のまた夢

想像しただけで悲しくなってしまうけど
誰が好き? と聞かれても 本当のことは言えないよ

卒業式が近づいているのに
明るくバイバイって笑う勇気が出てこない

恋に恋する最初の恋から 
彼に恋した本当の恋まで 
彼とすごした時間が 私が初恋の瞬間だった

繰り返し恋しても 初恋は叶わない

でもね やっぱり彼が好き

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