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「喫茶ペロリストシリーズ」
ようこそ、喫茶ペロリストへ!
第8話 一生の不覚? 1
なるほど、これは確かに繁盛だ。
顔が引きつりそうになったのはここだけの話。
土曜日の午後、俺は焦りをひた隠し、営業スマイルで客を店内に導き入れた。
午後五時を過ぎると、申し合わせたようにお客様御一行が現れた。
御一行様に見えても、それぞれ独立した客だけど。
都心からの電車の到着時間が、ハッキリとわかる出現である。
田舎道なので慣れていない人はよく迷うのだが、何度か来店している客は「お仲間?」といった感じで初顔さんに声をかけ、ウサギ談話に花を咲かせるのだ。
そして、ウサギの友は自分の友よろしく仲良く歩き、店に着く頃には旧知もビックリするほどの仲良しになっていた。
どうして仲良くなったばかりってわかるのかって?
それは店に入るなりテーブルをピタリと寄せ合い、ウサギの話で盛り上がっているから。
そんな遠くから来たんだ~なんて華やいだ声も聞こえるので、初顔なのも間違いない。
人類みな兄弟。ウサギの友は生涯の友。
うらやましいぞ、その物おじしない共感能力。
視界を埋めるのが女ばかりだから、よけいにそう思うのかもしれない。
女性は共感を得て安堵し、身も心も安定する生き物だから。
男の俺は初顔同士でキャッキャ♪ と盛り上がるなんて、ちっともわからないけどな。
それにしてもだ。
店内のテーブル席とカウンターだけでなく、テラス席も一度に埋まってしまった。
どうする、俺?
お一人様だぞ、今日に限ってオーナーがいない。
故さんは体調不良で昨日の夜から寝込んでいると、昼過ぎにフラリとやってきた椿さんから聞いた。
遊んでいるときは非常に元気だが、故さんも椿さんも病気がちだ。
故さんは昨日の朝、紙のように白い顔色になっていたので、不調で寝込むのは本当だろう。
椿さんはそれだけ告げると、ふらりと消えて行き先不明だ。
まさか、忙しくなるのを見越して逃げたのか?
ありえるな。
俺を雇っだけで、小躍りしていたぐらいだ。
残念だが俺の能力は、それほど高くないぞ。言いたくはないけどな。
何せ十年間、普通の会社員で総務担当だ。
客商売から遥かに遠い経歴しかない。
とにもかくにも。考えていても仕方ない。
まずは水だ。
レモン水は準備しているから、配膳せねば。
テラス席お客を導いてから、室内に戻る。
その瞬間、ん? と首をかしげてしまった。
目の前を、猫耳メイドさんが横切ったのだ。
「いらっしゃいませ~」
レモン水の入ったグラスをめいっぱい並べ、重そうなお盆を両手で必死で支えている。
そんな、一度に運ばなくてもいいのに。
ヨロヨロしそうな必死感が伝わったのか、おしゃべりに花を咲かせていたお客たちが一斉に猫耳メイドさんに顔を向けた。
アラ大変、なんて小さな声がもれる。
バケツリレーよろしくお盆の上からグラスをとると「奥の人からね~」とかなんとか言いながら、次々に手渡していく。
素晴らしい、非常に協力的な客だ。
確かに席の近くまで水は運んでいるものの、セルフと変わらない気もするが、それが通用する空間なのがすごい。
動物好きはいい人と言いきる、オーナーの根拠がなんとなくわかった。
いや、そんなことよりも。
あの猫耳メイドさん、誰だ?
バイトはいないと聞いていたのだが。
どこからどう見ても、従業員ではないか。
思わず目でその背中を追った。
身長は低めだし、うつむきがちなので、その表情は見てとれない。
チリン、と動くたびに猫耳につけられた鈴が鳴った。
黒いベルベットのメイド服の裾からのぞく繊細なレースは、凝ったデザインで幾重にも重なっていて、フワフワと揺れる感じがたまらない。
おお、振り向くと尻尾がある。
間違いなく黒猫がモチーフだ。
尻尾の先にむすばれた赤いリボンが、やたらに可愛いかった。
体形が全体的にムッチリしているので、生身の女の子感が満載である。
雑誌モデルが着用したカタログなんかよりも血肉を感じてしまい、非常に生々しくて胸がドキドキする。
コスプレが好きな訳じゃないぞ、本物の女の子が可愛くなるのが好きなだけだ。
まぁ、メイド服を着ているからといって、学生のような若さは感じられないけどな。
しかし、まるで似合わないわけでもない。
学生からは間違いなくおっさん扱いされる俺だから、年齢不詳な印象がやけにそそられる。謎を残してる感が萌えるじゃないか。
俺が観察していることに気付いたのか、猫耳メイドさんがトテトテッと小走りで近寄ってきた。
「あの、配膳は私がするので、調理してもらえますか?」
うつむいたまま、両手の指を組み合わせて願いされた。
緊張しているのかプルプル震えている。
恥かしがっているのか?
どこからどう見ても、恥ずかしがっているようにしか見えないぞ。
小動物めいた動きが、妙にそそられたのはここだけの話。
それにしても残念だ。
下を向いているのでつむじしか見えない。
ああ、うん。と俺はあいまいな返事をしたあとで、ハッとする。
そうだ、俺の仕事は料理だ、料理!
猫耳メイドさんに萌えながら、働きぶりを観察する事ではなかった。
慌てて厨房に入り、俺は本来の業務に戻った。
メニューは「ペロリストの気まぐれご飯」一本だ。
だから、作る側も配膳する側も人数分がまるで同じ物なので、注文間違いなんてまさかの失敗はない。
そのぶん、御一行様には似た速度で提供する緊張感はあるけどな。
こういうときには動物好きは、皆、お友達感覚がにくい。
一人だけ、食事が遅れる訳にはいかないからな。
とにかく、店内が満席になるなんて体験は初めてだから、無心で調理に取り組むしかない。
今日の俺の相棒はフライパンだ。
それにしても。
気になるのは、あの猫耳メイドさん。
俺と目が合うとパッと目を伏せる。
いつもうつむき加減なので、つむじと猫耳しか見えないけれど。
俺の身長が高いせいもあって顔は見えなかったが、動いたら肩甲骨より長い髪がサラリと流れ、ちょっぴり覗いた耳タブと指先までが真っ赤になっていた。
萌え要素満載である。
何よりも、あの胸!
レースとフリルで更にボリュームアップされているけれど、その奥に包まれた白いブラウスの盛り上がりは本物だ。
とにかく、ただ者ではなかった。
コルセットでググッと腰を絞めているとはいえ、胸が強調されすぎだろ。
いや、強調させている訳ではない。
勝手に自己主張しているだけだ。
きっとパンやクッキーを食べても、その欠片は床には落ちず胸に乗るに違いない。
やばいぞ、胸だけで萌える。
後でじっくりと話をしてみたいものだ。
サクサクっと仕事を片づけて、名前だけでも聞かなくては!
オーナーの趣味でコスプレ喫茶と化していても、メイド服は許せると実感する。
いや、胸ばかりに集中して、顔を見なかったってわけじゃないぞ。
本当だからな。

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顔が引きつりそうになったのはここだけの話。
土曜日の午後、俺は焦りをひた隠し、営業スマイルで客を店内に導き入れた。
午後五時を過ぎると、申し合わせたようにお客様御一行が現れた。
御一行様に見えても、それぞれ独立した客だけど。
都心からの電車の到着時間が、ハッキリとわかる出現である。
田舎道なので慣れていない人はよく迷うのだが、何度か来店している客は「お仲間?」といった感じで初顔さんに声をかけ、ウサギ談話に花を咲かせるのだ。
そして、ウサギの友は自分の友よろしく仲良く歩き、店に着く頃には旧知もビックリするほどの仲良しになっていた。
どうして仲良くなったばかりってわかるのかって?
それは店に入るなりテーブルをピタリと寄せ合い、ウサギの話で盛り上がっているから。
そんな遠くから来たんだ~なんて華やいだ声も聞こえるので、初顔なのも間違いない。
人類みな兄弟。ウサギの友は生涯の友。
うらやましいぞ、その物おじしない共感能力。
視界を埋めるのが女ばかりだから、よけいにそう思うのかもしれない。
女性は共感を得て安堵し、身も心も安定する生き物だから。
男の俺は初顔同士でキャッキャ♪ と盛り上がるなんて、ちっともわからないけどな。
それにしてもだ。
店内のテーブル席とカウンターだけでなく、テラス席も一度に埋まってしまった。
どうする、俺?
お一人様だぞ、今日に限ってオーナーがいない。
故さんは体調不良で昨日の夜から寝込んでいると、昼過ぎにフラリとやってきた椿さんから聞いた。
遊んでいるときは非常に元気だが、故さんも椿さんも病気がちだ。
故さんは昨日の朝、紙のように白い顔色になっていたので、不調で寝込むのは本当だろう。
椿さんはそれだけ告げると、ふらりと消えて行き先不明だ。
まさか、忙しくなるのを見越して逃げたのか?
ありえるな。
俺を雇っだけで、小躍りしていたぐらいだ。
残念だが俺の能力は、それほど高くないぞ。言いたくはないけどな。
何せ十年間、普通の会社員で総務担当だ。
客商売から遥かに遠い経歴しかない。
とにもかくにも。考えていても仕方ない。
まずは水だ。
レモン水は準備しているから、配膳せねば。
テラス席お客を導いてから、室内に戻る。
その瞬間、ん? と首をかしげてしまった。
目の前を、猫耳メイドさんが横切ったのだ。
「いらっしゃいませ~」
レモン水の入ったグラスをめいっぱい並べ、重そうなお盆を両手で必死で支えている。
そんな、一度に運ばなくてもいいのに。
ヨロヨロしそうな必死感が伝わったのか、おしゃべりに花を咲かせていたお客たちが一斉に猫耳メイドさんに顔を向けた。
アラ大変、なんて小さな声がもれる。
バケツリレーよろしくお盆の上からグラスをとると「奥の人からね~」とかなんとか言いながら、次々に手渡していく。
素晴らしい、非常に協力的な客だ。
確かに席の近くまで水は運んでいるものの、セルフと変わらない気もするが、それが通用する空間なのがすごい。
動物好きはいい人と言いきる、オーナーの根拠がなんとなくわかった。
いや、そんなことよりも。
あの猫耳メイドさん、誰だ?
バイトはいないと聞いていたのだが。
どこからどう見ても、従業員ではないか。
思わず目でその背中を追った。
身長は低めだし、うつむきがちなので、その表情は見てとれない。
チリン、と動くたびに猫耳につけられた鈴が鳴った。
黒いベルベットのメイド服の裾からのぞく繊細なレースは、凝ったデザインで幾重にも重なっていて、フワフワと揺れる感じがたまらない。
おお、振り向くと尻尾がある。
間違いなく黒猫がモチーフだ。
尻尾の先にむすばれた赤いリボンが、やたらに可愛いかった。
体形が全体的にムッチリしているので、生身の女の子感が満載である。
雑誌モデルが着用したカタログなんかよりも血肉を感じてしまい、非常に生々しくて胸がドキドキする。
コスプレが好きな訳じゃないぞ、本物の女の子が可愛くなるのが好きなだけだ。
まぁ、メイド服を着ているからといって、学生のような若さは感じられないけどな。
しかし、まるで似合わないわけでもない。
学生からは間違いなくおっさん扱いされる俺だから、年齢不詳な印象がやけにそそられる。謎を残してる感が萌えるじゃないか。
俺が観察していることに気付いたのか、猫耳メイドさんがトテトテッと小走りで近寄ってきた。
「あの、配膳は私がするので、調理してもらえますか?」
うつむいたまま、両手の指を組み合わせて願いされた。
緊張しているのかプルプル震えている。
恥かしがっているのか?
どこからどう見ても、恥ずかしがっているようにしか見えないぞ。
小動物めいた動きが、妙にそそられたのはここだけの話。
それにしても残念だ。
下を向いているのでつむじしか見えない。
ああ、うん。と俺はあいまいな返事をしたあとで、ハッとする。
そうだ、俺の仕事は料理だ、料理!
猫耳メイドさんに萌えながら、働きぶりを観察する事ではなかった。
慌てて厨房に入り、俺は本来の業務に戻った。
メニューは「ペロリストの気まぐれご飯」一本だ。
だから、作る側も配膳する側も人数分がまるで同じ物なので、注文間違いなんてまさかの失敗はない。
そのぶん、御一行様には似た速度で提供する緊張感はあるけどな。
こういうときには動物好きは、皆、お友達感覚がにくい。
一人だけ、食事が遅れる訳にはいかないからな。
とにかく、店内が満席になるなんて体験は初めてだから、無心で調理に取り組むしかない。
今日の俺の相棒はフライパンだ。
それにしても。
気になるのは、あの猫耳メイドさん。
俺と目が合うとパッと目を伏せる。
いつもうつむき加減なので、つむじと猫耳しか見えないけれど。
俺の身長が高いせいもあって顔は見えなかったが、動いたら肩甲骨より長い髪がサラリと流れ、ちょっぴり覗いた耳タブと指先までが真っ赤になっていた。
萌え要素満載である。
何よりも、あの胸!
レースとフリルで更にボリュームアップされているけれど、その奥に包まれた白いブラウスの盛り上がりは本物だ。
とにかく、ただ者ではなかった。
コルセットでググッと腰を絞めているとはいえ、胸が強調されすぎだろ。
いや、強調させている訳ではない。
勝手に自己主張しているだけだ。
きっとパンやクッキーを食べても、その欠片は床には落ちず胸に乗るに違いない。
やばいぞ、胸だけで萌える。
後でじっくりと話をしてみたいものだ。
サクサクっと仕事を片づけて、名前だけでも聞かなくては!
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