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「喫茶ペロリストシリーズ」
ようこそ、喫茶ペロリストへ!

第2話 責任はとってくれ

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 喫茶ペロリストは、ウサギ喫茶だ。
 口になじむまで確認したくなるぐらい、とても珍しい存在だと思う。
 動物がいる喫茶店と聞いて、俺だって直接来るまでは猫喫茶だと勘違いしていた。
 オーナーが夫婦でも兄弟でもなく、女性二人の友人関係なのも珍しい。
 お金がからむと血脈同士でも争いが起こるというのに、本当に大丈夫か?
 この二人がけんかすると、俺の未来も暗黒星雲になるのだが。
 などと不安が押し寄せたのは、ここだけの秘密だ。

 言っては悪いが、オーナーの故さんと椿さんは、どうやってもセレブには見えない。
 ユニクロの特売チラシを見て盛り上がっているのに、どうやって喫茶店を手に入れたのかも謎だし、俺の給料をどこから捻出するのかも謎。
 だけど、喫茶店自体はやたらと豪華だ。

 厨房と喫茶スペース、独立したウサギスペースに、テラスまである。
 赤レンガの壁にモスグリーンの看板が、ビジュアルに興味のない俺の目にも可愛らしくうつる。
 絵本に出てきてもおかしくないような建物なのだ。

 二人にお願いされて、ペロリストの文字の横に立ちウサギの絵も描いた。
 そういうのは得意なのだ。
 器用貧乏だって? ほっといてくれ。
 おぉぉぉ~! とオーナー二人には声付きで感激されたんだぞ。
 目に見える評価アップにグッとこぶしを握って喜んだのだから、いい気分に浸らせてくれ。

 それにしても、やたらと大きい建物だ。
 いや、全体的にゆったりとくつろげる作りになっているので、大きくても当然だと思うのだが。
 従業員は俺ひとり。
 オーナー二人はどうやら健康体ではないらしく、体調のいい時しかお店に出ないらしい。
 ウサギの世話は毎日していたものの、喫茶店とは名ばかりぐらいの不定期営業だったので、俺を雇う話になったそうだ。

 本当に趣味で細々とやっていた空間なんだ、といきさつを聞いて驚いたのも記憶に新しい。
 箱モノだけで、趣味というレベルをはるかに超えているのに。
 それにしても、これからどうやって維持管理する気なんだろう?
 バイトの一人すらいないのに、大丈夫か?
 素朴な俺の疑問は、すぐに解消された。
 やっぱりと肩を落とす台詞が、遠くから聞こえてきたのだ。

「これからは卯月君がいるから、うさうさたちも幸せだね~」
「私たちもお掃除から解放されるよ~いつでもどこでもピッカピカ♪」
 嬉しいね~なんて、キャッキャッ♪ と喜んでいる。

 そんな訳ないだろ~一人で厨房と接客と掃除までできるものか。
 それにこの住居兼喫茶店の裏には、鳥小屋まであって鶏天国なんだぞ。
 毎日、新鮮な生み立て卵が使えるのは嬉しいけどさ。

「さすがにムリだよ。一人で全部は」
 ボソッとぼやいたつもりが、思いがけなく響いたらしい。
 え? といいたげ感じでオーナー二人の動きが止まった。

 なんだ、その批判的な会話の終了は。
 うっそりとした動きでそ~っとこちらに顔を向け、オーナー二人が物言いたげな沈黙で俺を責める。

 ああ、初めての失敗か?
 まさか、このままクビってことだけはないだろう?
 そうだ、頑張れ俺。
 できないことは最初に伝えておかないと、後のいざこざの原因だ。
 ここは勇気を持って、真実を述べなくては。

「厨房と接客だけでも手いっぱいになるはず。きっと、全体の掃除までは手が回らないので。今まで二人でやっていたことにプラスして、ほぼ毎日の営業だと24時間じゃ足りないでしょ?」
 ポソッと「過労だ」と付け足すと、オーナー二人は激しく動揺した。

「か、過労死……鶏小屋の中で、卵を片手に倒れて、くちばしでつつかれるんだよ」
「ほうきをつかんだまま倒れて、うさうさに囲まれて、気の毒そうに看取られるのかも……」
「アニマルに囲まれて儚く散るんだよ! ム、無念~って……」

 いや、それはありえないと思うけどな。
 ウサギやニワトリの前に、オーナーに発見されて入院するという選択肢がないのは何故だ?
 ああ、俺まで二人の思考に毒されてきたようだ。

「かわいそう、めっちゃ可愛そう。独身老人の孤独死と同じぐらい、かわいそう」
 二人にそろって泣かれてしまった。

 なぜ泣く?
 憐れまれる要素は、今現在はないのに。
 それにしても、なんて豊かな想像力なんだろう。
 否定すると仕事が増えるので、ここは賢く黙っておこう。

「どうすれば卯月君が長生きするかなぁ?」
「うんうん、生かさず殺さずのペースで、ずーっといてほしいよねぇ」

 おい……今、恐ろしい言葉を聞いた気がするぞ。
 生かさず殺さずだと?
 どっちが言った?

 上手く流せなかったが、二人とも手を取り合ってブルブルと震えているだけだ。
 青ざめながら、ありとあらゆる俺の不幸を想像しているらしい。
 確認したいが、確認するのはもっと怖い。
 勝手に俺の未来を決めないでくれ。
 まぁ、いいけどな、そんな未来にはさせない。

「ここの設計はオーナーお二人で間違いないですか?」
 改まった口調で聞いてみると、コクコクと二人そろって激しくうなずいた。
 とても素直で純粋なオーナーには間違いない、と思う。
 いい人と信じて、側にあったほうきと塵取りをつかみ、二人に差し出した。

「責任とって下さいね?」
 ニッコリ。
 すべての善意と好意を集めて、全開の笑顔に込めてみた。

 はたして結果は……無言のまま二人は掃除道具を手に、とぼとぼとウサギ小屋に向かったのだった。
 ビバ、営業スマイル!


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