スポンサー広告
スポンサーサイト
--.--.-- *Edit
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もくじ
短編集 恋の卵

もくじ
Making Twilight

もくじ
短編集 ふんわりと

もくじ
ショートショート 恋重ね

もくじ
詩集 よりそう翼

もくじ
詩集 kurayami

総もくじ
詩集 ヤマアラシのジレンマ

もくじ
ここからはじまる

もくじ
潮騒の詩

もくじ
風の顎(かぜのあぎと)

もくじ
拍手お礼と語ってみる

もくじ
小毒なボッチ思考にゃん(ΦωΦ)

もくじ
未分類

もくじ
詩集 Blre blue Cat

もくじ
腹ペコのその時に

もくじ
お題からのツイノベ風のSS集

- TB(-)|
- CO(-)
- [Edit]
「短編集 ちょっぴり異世界」
風のように鳥のように
第22話 自由の翼 最終話
穏やかな状態だった巨大船とは違い、大きく上下に揺れる甲板に翻弄されながら、私はゆっくりと魔女へと近づいた。
穏やかな瞳があの頃と変わらず、私を見つめていた。
「お元気で何よりです。ずっと、あなたにお会いしたかった」
膝をついてゆっくり告げた私に、ホッと魔女は軽く笑った。
「あの程度の災禍、予知できぬわけがあるまい。我も侮られたものよ」
なるほどと思ったけれど、変わらぬ口調に心がほころんだ。
八年もたってすっかり大人になったつもりでいたが、やっぱり子供の頃と魔女に対する気持ちは変わっていないのだ。
「あなたは魔女ではなく、師であり友ですから」
「言うようになった」
朗らかに魔女は笑った。
何のためらいもなく笑う姿に、私もつられて笑った。
船上にいたすべての人も私たちにつられたのか、なんのてらいもなく笑っていた。
ここは初めての場所で、はじめて出会う人ばかりなのに。
自分のいるべき場所に帰ってきたと、そう思った。
「親父、これからどこに行く?」
ナナの気楽な問いかけに、大男が肩をすくめた。
「船長って呼べや、バカ野郎」
「おっさんだろ、ただの」
うるせ~と大男はぼやいた。
少しは敬いやがれと毒づきながら、迷いもなく太陽の昇る方向を指差した。
「東に決まってるだろ、バカ野郎が」
そうだろ? と私に同意を求めるので、ハイ、と素直にうなずいた。
素直で上等だと妙な喜び方をして、少し休んだら櫂と帆の扱いを教える、と彼は真顔で言った。
「悪いがおばあ以外は必須なんだ。一人きりでも船を動かせないと、全員が死ぬからな」
それが海上の生活なのだ。
私は緊張の面持ちでうなずいたけれど、朗らかなナナの笑いが吹き飛ばす。
「そんなの私がいくらでも教えてやるよ! 親父は教えるの、下手すぎるからさ」
なんだとぅ~とムキになって言い返す男に、ナナが舌を出してからかっている。
姿形は似ていないけれど、本当の親子みたいな掛け合いだった。
思わず笑ってしまったが、いつものことなのか他の男たちは聞かないふりをして、それぞれの持ち場についていた。
魔女がゆっくりと杖を置き、船員たちは手に手に櫂を持った。
もう少し休めと言われたけれど、私もお願いして定位置につく。
はじめの一漕ぎは、波頭を軽く削っただけだった。
水をかくのは重く、リズムを合わせるだけでも難しい。
それでも私は櫂を手に、今から自分の力で船を動かすのだ。
七つ目の大陸を目指す。
ナナの故郷を探すために。
幼い頃からの夢を叶えるために。
そして、私たちは冒険に旅をはじめる。
海を渡る長い長い旅だ。
どこまでも続く海の果てを探し、自由の翼を広げる。
風のように、鳥のように。
穏やかな瞳があの頃と変わらず、私を見つめていた。
「お元気で何よりです。ずっと、あなたにお会いしたかった」
膝をついてゆっくり告げた私に、ホッと魔女は軽く笑った。
「あの程度の災禍、予知できぬわけがあるまい。我も侮られたものよ」
なるほどと思ったけれど、変わらぬ口調に心がほころんだ。
八年もたってすっかり大人になったつもりでいたが、やっぱり子供の頃と魔女に対する気持ちは変わっていないのだ。
「あなたは魔女ではなく、師であり友ですから」
「言うようになった」
朗らかに魔女は笑った。
何のためらいもなく笑う姿に、私もつられて笑った。
船上にいたすべての人も私たちにつられたのか、なんのてらいもなく笑っていた。
ここは初めての場所で、はじめて出会う人ばかりなのに。
自分のいるべき場所に帰ってきたと、そう思った。
「親父、これからどこに行く?」
ナナの気楽な問いかけに、大男が肩をすくめた。
「船長って呼べや、バカ野郎」
「おっさんだろ、ただの」
うるせ~と大男はぼやいた。
少しは敬いやがれと毒づきながら、迷いもなく太陽の昇る方向を指差した。
「東に決まってるだろ、バカ野郎が」
そうだろ? と私に同意を求めるので、ハイ、と素直にうなずいた。
素直で上等だと妙な喜び方をして、少し休んだら櫂と帆の扱いを教える、と彼は真顔で言った。
「悪いがおばあ以外は必須なんだ。一人きりでも船を動かせないと、全員が死ぬからな」
それが海上の生活なのだ。
私は緊張の面持ちでうなずいたけれど、朗らかなナナの笑いが吹き飛ばす。
「そんなの私がいくらでも教えてやるよ! 親父は教えるの、下手すぎるからさ」
なんだとぅ~とムキになって言い返す男に、ナナが舌を出してからかっている。
姿形は似ていないけれど、本当の親子みたいな掛け合いだった。
思わず笑ってしまったが、いつものことなのか他の男たちは聞かないふりをして、それぞれの持ち場についていた。
魔女がゆっくりと杖を置き、船員たちは手に手に櫂を持った。
もう少し休めと言われたけれど、私もお願いして定位置につく。
はじめの一漕ぎは、波頭を軽く削っただけだった。
水をかくのは重く、リズムを合わせるだけでも難しい。
それでも私は櫂を手に、今から自分の力で船を動かすのだ。
七つ目の大陸を目指す。
ナナの故郷を探すために。
幼い頃からの夢を叶えるために。
そして、私たちは冒険に旅をはじめる。
海を渡る長い長い旅だ。
どこまでも続く海の果てを探し、自由の翼を広げる。
風のように、鳥のように。
総もくじ
詩集 ヤマアラシのジレンマ

もくじ
短編集 恋の卵

もくじ
Making Twilight

もくじ
短編集 ふんわりと

もくじ
ショートショート 恋重ね

もくじ
詩集 よりそう翼

もくじ
詩集 kurayami

総もくじ
詩集 ヤマアラシのジレンマ

もくじ
ここからはじまる

もくじ
潮騒の詩

もくじ
風の顎(かぜのあぎと)

もくじ
拍手お礼と語ってみる

もくじ
小毒なボッチ思考にゃん(ΦωΦ)

もくじ
未分類

もくじ
詩集 Blre blue Cat

もくじ
腹ペコのその時に

もくじ
お題からのツイノベ風のSS集

- ジャンル:[小説・文学]
- テーマ:[自作小説(ファンタジー)]
~ Trackback ~
卜ラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
~ Comment ~