「短編集 ちょっぴり異世界」
風のように鳥のように

第14話 ナナ 3

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 数日後、魔女の元を再び訪れた。
 本当は翌日にでも行きたかったけれど、新しい家庭教師をつけられたり、母から手伝いを言いつけられたりで、なかなか家から抜け出せなかったのだ。
 誰も何も言わないけれど、私の外出を快く思っていなかったのは確かだ。
 言っても聞かなかっただろうけれど、それでもちゃんとした言葉で止められていたら、少しはその理由について考えたかもしれない。
 今となってはとんだ繰り言だけど。

 魔女の家に直接向かい、私は扉をノックした。
 キィと小さな音を立てて自然に開く。
 扉口には誰もいない。
 それが唯一、私の目にする不思議な力だった。
 お邪魔しますと声をかけながら中に入る。

 魔女は家の奥にいるようだった。
 綺麗に整頓されている質素な部屋を抜け、私は奥にある寝室に向かった。
 ある予感に不安と一緒に期待もふくらんで、少しだけ心が弾む。
 ノックをしようと手をあげると同時に、寝室のドアが開いた。
 目の前に魔女がいたので、さすがに驚いて思わず一歩下がってしまった。

「おはいり」
 魔女が身体を半分ずらしたので、中にあるベッドが見えた。
 簡素なつくりのベッドに、あの少女が上半身を起こして座っていた。
 光の加減で色を変える、オパール色の不思議な瞳が私を見ていた。

 紅い髪と不思議な色の瞳に気圧されて、思わず足がすくんでしまった。
「おはいり。それとも帰るかえ?」
 二度と来ぬ、それもまた良いだろう。と小さく魔女が続けたので、私の足は動いた。
 寝室の中へと。
 はじめて足を踏み入れるので、思わず足が震える。
 調合されたハーブの香りが鼻腔をくすぐった。


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