短編集 恋の卵

キスまでの距離 最終話

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「なによ、翔は他にも彼女がいたじゃない」
「だから、なに? いつのことだよ?」
 ああ、と翔はにやりとする。
「妬いてんの?」
 
 違う、と言いかけたところで、翔が自然に身をかがめた。
 塞がれた唇が、別の生き物みたいに熱を持った。

 私は思わず目を閉じる。
 あ、なんとなく思いだした。
 庭で遊んでいる時、デージーで指輪を作って、結婚式のまねごとをした。
 その時、確かに誓いのキスをした。

 思い出したことで、胸が震えた。
 あたりまえだけどあのころとはまるで違って、翔は背が伸びて、肩幅も広くなっていた。
 子供の頃はキスまでの距離が、もっと近かった気がする。

 触れあった翔の唇は、かすかにふるえていた。
 壊れ物を扱うみたいに、そっとしか触れていないのに。
 私の八つ当たりも不満もいら立ちも、すべて吸い取って離れて行った。

「今度は忘れるなよ」
「……バカ」

 別に、回り道をした訳じゃないけど。
 好きが近すぎて、今まで見えなかった。
 キスまでの距離は、遠くて近い。

 怖くて、嬉しくて、笑いたいのに、泣けそうで。
 人生、二度目のキスははじめての感覚だった


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