短編集 恋の卵

キスまでの距離 3

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 シルバーリングを19歳の誕生日にもらうと、その人と幸せになれる。

 彼氏にもらうのが前提の、恋のジンクス。
 根拠なんてないし、本当に信じてる訳でもなくて、恋に恋する瞬間を切り取るような、そんなおまじないだったのに。

 それだけに喜んでいいのか、途方に暮れていいのか、わからなくなる。
 だってシルバーリングは、彼氏にもらうものだから。
 頭の中が混乱してしまった。
 つい、もらえない、と返しかけた私の手を、翔は止めると同時に、サラッと言った。

「俺たち、付き合おうか」

 私はバカみたいに「え?」と言って、翔を見つめてしまった。
 本当に理解できなかった。
 付き合うって?
 戸惑いを置いてけぼりにして、私の心臓は勝手に鼓動を早めていく。

「だから、好きだっつってんの」
 語調がひどくきつくて、その意味が浸透するまでに時間がかかった。
 今、好きって言われてる。
 それは幼馴染としてではなく、異性としてだ。

 告白されてるはずなのに、言い方のせいか怒られてるのかと思った。
 何度まばたきして凝視しても、不自然に目をそらした翔の様子は告白の言葉が真実だと告げていた。
 耳が赤い。
 怒ったようにひき結んだ口元は、照れ隠しの癖だと私は知っている。

「返事は?」

 横を向いたままぶっきらぼうに聞かれた。
「急に、なに?」
 恋とか愛とか、そういうものを付きつけられるなんて思ってもみなかったから、ひどく動揺してしまう。
 こんなこと、想定外すぎて、どう反応していいのかわからない。
 言葉も見つからなくて、続ける言葉を見失った。


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