「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第69話 ホワイトノエル

 ←第68話 ホワイトノエル →第70話 ホワイトノエル
 いまだかつてないほど、落ち着かない。
 自宅の玄関前で、私は戸惑っていた。
 西条は、もういないはず。
 現在、高級ホテルの厨房にはいり、仕事の時間帯。
 だけど、今朝はここで別れたのだ。
 自分の家なのに、入るのに勇気が必要なのは何故だろう?

 お隣さんにケーキを持って行き夜中に騒いだことは謝罪したし、このまま自宅玄関に立ちつくしていたらただの不審者だ。
 私は気を取り直して、鍵を取り出した。
 そしてゆっくりと、扉を押しあけた。

 暗い。
 灯りをつけると、見なれた自分の部屋が浮かび上がった。
 ちゃぶ台の上に、鍵と置手紙らしきものが置いてある。
 綺麗に片づけられていて、なんとなく西条らしいと思った。
 仕事以外でも几帳面で綺麗好きらしい。

 押し入れの中を見ていないと示すように、布団は部屋の隅に畳んで積んである。
 そういうのは、嫌いじゃない。
 むしろ好感が持てる……なんて考えていると、西条のいない空間はガランとして、昨日より広く感じてしまう。
 なぜだろう?
 ホッとしたような、落ち着かないような、奇妙な気分だ。

 インフルエンザがはやり始めたな~と思いながら、うがいをするために洗面台に近づいて思わず硬直する。
 見なれぬ歯ブラシとシェービングクリームが、我が物顔で陣取っていた。
 西条、ヒゲなんてあったんだ……妙な感想を抱いたけど、捨てるわけにもいかずオドオドしてしまう。
 もしかして、また泊りに来るつもりなのかしら?



にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ

関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png 交換詩・贈答物語 七色の海
総もくじ 3kaku_s_L.png 英雄のしつけかた
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編集 ちょっぴり異世界
総もくじ 3kaku_s_L.png ミルキィ☆ロール
総もくじ 3kaku_s_L.png 喫茶ペロリストシリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 短編集 恋の卵
もくじ  3kaku_s_L.png Making Twilight
もくじ  3kaku_s_L.png 詩集 kurayami
総もくじ  3kaku_s_L.png 交換詩・贈答物語 七色の海
もくじ  3kaku_s_L.png 潮騒の詩
総もくじ  3kaku_s_L.png 英雄のしつけかた
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編集 ちょっぴり異世界
総もくじ  3kaku_s_L.png ミルキィ☆ロール
総もくじ  3kaku_s_L.png 喫茶ペロリストシリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【第68話 ホワイトノエル】へ
  • 【第70話 ホワイトノエル】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第68話 ホワイトノエル】へ
  • 【第70話 ホワイトノエル】へ