「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第66話 ホワイトノエル

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「おいしいだろ?」
 どうだ参ったか、とその眼差しが語っていた。
 参りましたよ、文句無しでおいしいですから。
 心の中でそう答えたけどあえて返事をせず、黙々とフレンチトーストを平らげる。
 返事の代わりに見せるのは仏頂面で十分。
 声に出して、西条が喜ぶことを言いたくない。
 かわいくないって思われてもいい。
 これ以上自由奔放に、強引な振る舞いはされたくないもの。

 西条はきっといままで女の子にも不自由せず、自分から交際を申し込んでも断られたことすらないんだろう。
 自分のやりたいようにやっても、言いたいことを言っても、そのまま相手に受け入れてもらえていた。
 愛されることに、慣れてるのかもしれない。
 
 だけど私は、他の女の子とは違う。
 西条といると、今みたいに落ち着かなくなる。
 もちろん、西条の作るケーキは好きだ。
 目指す者は違うけれど、私の好きなケーキを生み出すその手も好きだ。
 それこそ、夢に見るほど。

 だけど、西条の中身は、嫌いだ。
 なのに、ちょっとぐらい好きになってもいいかと思う瞬間が、たびたび訪れるのが更に嫌だ。
 それに、西条は、私の気持ちなんてこれっぽっちも求めていなかった。
 この人の視界にあるのは、西条自身の気持ちだけ。
 哀しいけど、それが現実のような気がする。

 告白されたからと言って、そこに私の居場所なんてない。
 それはきっと、西条はそのまま西条で、私はどこまでいっても私だってことなんだろう。
 どうしてそんな余計な事に気がつくのかしら……落ち込むな、私。
 目の前にいるせいか、悔しい事に西条のことばかり考えてしまうだけだ。

 スッと目の前に手が差し出された。
 フォークをくわえたまま、つい見つめてしまった。
 これがなにを意味するのか、ちっともわからない。
 触ってもいい、なんていう気だろうか?
 そんな台詞で喜ぶ訳が……あるけど、今日はパスだ。
 それ以上に、またしても嫌な予感がする。


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