「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第64話 ホワイトノエル

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 眠い。
 そして、右手が痛い。
 手の甲が、心と一緒にズキズキする。
 ちゃぶ台に突っ伏して、私は溜息をついた。

 この手の痛みが、私自身のかわいくない部分を象徴していた。
 いくら半分寝ぼけてとっさだったとはいえ、しびれるほど殴ってしまうとは。
 手加減と言うものが、私の辞書にはなかったらしい。
 夢見るようなロマンティックな展開が、柄ではないのはわかっている。
 だけど、少しぐらい夢を見たいのに。

 カミサマ、どうして私の目の前に現れたのが西条なんですか?
 誰もが認める天敵なのに。
 百歩譲って気の迷いが生じ、お互いにときめいたとしても。
 誰がどう見ても、釣り合いが取れない。
 王子様の側にペンペン草なんて、いい笑い物だ。
 甘くて優しいフワフワのケーキみたいな恋になる、そういうシチュエーションになるはずがない。

 ちなみに。
 西条は現在、朝御飯の作成中である。
 改心の一撃である右ストレートは確実に彼の腹部にヒットしたけど、それでも逃げ出したりせずに、私の機嫌をとるために動きまわっている。
 遠慮なしの鉄拳を受けてもゴフッと呻いただけで、普段と変わりなく動けるなんて、とことん丈夫な奴だ。

 チラリと、綺麗な背中に目をやる。
 調理をする背中はどこか華やいでいて、作ることが本当に好きなんだなと思う。
 スラリとした長身はそこにいるだけで絵になるし、普通の女の子ならこんな時は「嬉しい」と言って甘えるはず。
 間違っても、帰れ、なんて言ってふてくされたりしない。
 目があっただけで嬉しい、なんて喜ぶ女の子は掃いて捨てるほどいるから、そっちに行けば西条だって気分よく過ごせるはずなのに。
 どうして私なのか、今ひとつわからない。
 まさか、罵倒されて喜ぶM?
 いえいえ、そんな訳ないか。
 言動を振り返ればSだと思う。
 うん、間違いない。

 だいたい、告白されたけど、今ひとつ実感がない。
 好きだって、付き合えって言ったくせに……私の気持ちはどうでもいいとしか思えない数々のその行動も、まるで理解できない。
 私、告白されたんだよね……多分、付きだったけど。


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