「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第63話 ホワイトノエル

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「なんでそんなこと……」
 抗議しようと思ったら、ヒョイと態勢を変えて西条は私の上に乗った。
 驚くほど間近にに西条の顔が来て、心臓が止まるかと思った。
 うわ、息づかいがモロにわかる。
 なぜか、背筋が甘い感じでゾクゾクした。
 ほんのちょっと位置がずれると、顔同士がくっつくぐらい至近距離で、息をするのも緊張する。

 ぎくしゃくする私の耳元で、西条が小さく囁いた。
「一夜を共にして、このまま何もないままなんて、ありえないだろう?」
「え?」

 西条の手が、私のクマさんパジャマのボタンにかかった。
 プチプチっと簡単に外されていく。
 こ、これはもしかして、襲われてる?
 いえいえ! ありえないのはあなたの行動ですから!
 私は必死でクマさんパジャマのボタンを外されないよう、両手で鷲掴みにした。
「何もなくて結構!」

 フフッと西条は甘く笑った。
 ドキッと、不覚にも一瞬見とれてしまい、ハッとする。
 そんなにこやかな綺麗な微笑みを見せたからって、私はぽわーっとしないんだからね。
 いやちょっとはボーっとしたけど、意識を持っていかれるほどじゃない。
 ドキドキしてしまうのは、襲われているからであって、まだ好きになんてなってないし。
 
「俺、けっこう我慢強いだろ? 寝込みを襲うのはフェアじゃないから、起きるまで待ってたんだ」

 全然、我慢強くない! 我慢強くないと思う!
 いや、朝まで何もなかったなら、我慢強いのかしら?
 どちらにせよ、自分勝手も極まれり。
 とにかく人生初めての危機的状況に、頭が大混乱だ。
 不正でも素早く動いてボタンを外していくなんてなんて器用な指なんだろう。

「真奈美」
 普通に名前を呼ばれて、息が止まるかと思った。
 鼓膜から心にじんと響くようで、脳が瞬間湯沸かし器みたいに沸騰する。
 
 どうしてそんな、ケーキを見る時みたいな甘い表情をしてるの?

 だけど、すぐにハッとする。
 名前を呼ばれたぐらいでときめくなんて、なんてこと。
 ほ、他の人から見て王子様でも、私には天敵なんだから!

「ホントに我慢強いなら、とことん我慢してよー!」

 私の右ストレートを止めるだけの理由は、この世に存在しなかった。


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