「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第58話 ホワイトノエル

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 遠くで音がする。
 リンリンと次第に大きくなる時計の音。
 なんだかやたらと重い身体をなんとか動かし、鳴り響く目覚ましの音に向かって手を伸ばす。
 怒涛のようなクリスマス商戦の疲れが、どっしりと疫病神のように身体にのしかかっている気がする。
 一時間なんて欲張らない。だから、あと五分だけ……と思いながらも、その欲求を満たすと後悔するから、ここはあきらめて起きないと。

 チン。
 時計に手が届く前に、音がやんだ。

 ん? と不思議に思う間もなく伸ばした私の手は、ペタ、と不思議な物に触れた。
 なめらかですべすべした感覚はほんのりと暖かく、細身なのにゴツッとしてどうも骨っぽい。
 ペタペタと触りまくっているうちに、私の意識は覚醒してくる。

 なにこれ?
 なめらかであったかいのに骨っぽい……?
 そう……これに相応しい表現は、人肌。
 それもこの大きさは間違いなく男……ありえない。
 私は独り暮らしだったはず。
 ガバッと飛び起きようとして、身体にまわされている腕に阻まれた。

 そう、腕だ。
「まる美は本当に俺の手が好きなんだなぁ」
 クスクスと笑ういたずらな声。
 何度も夢に出てくるから、脳内から消してしまいたい西条の声だったから、げっそりする。
 いまだかつて経験したことがないほどに、至近距離から響いてくるなんて。
 どこか人を食ったような言い回しに、寝不足も手伝ってイラッとしてしまう。
 好きとか嫌いとか言う理屈でなでまわしている訳ではなくて、これが現実か否か確かめていただけだ。
 まぁ、この長い指や器用な手は秀逸ですけど。



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