「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第30話 ホワイトノエル

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 特別な日に、特別な夢を叶える手助けになる物を目指す。

 卒業制作の詰めで居残りをした時に、西条はそんなことを言っていた。
 告白する時の薔薇の花束や、プロポーズの時の指輪と同価値の。
 そういうモノを作りたいって。

 あの時、私はにらみつけてやったはずだ。
「バラも指輪もしょせんアイテムでしょ。アイテムなんてただの作品で中身がないわよ。どうせなら、渡すための勇気の一歩を踏み出せるものを作りたい、ぐらいは言ってほしいわ」
 なんて非常にかわいくないことを言った記憶がある。

「まる美は本当にバカだな。ホテルに予約を入れるぐらいの奴は、勇気の一歩は踏み出してるんだよ。特別な日の記憶は、一生ものだ」
 なんて西条は反論して、当然だが非常にムッとしていた。

 そうだね、なんて私は言えなかった。
 言いたかったけど、認めるのが癪だった。
 余計なひと言だって自覚もしていた。
 特別な日の手助けになるものは私だって作りたい。
 花束や指輪じゃなくて、私のケーキだったらどんなに素敵だろう。

 でもそれは、私の目指しているものではないから。
 一瞬でも、西条の夢に引きずられた自分が、許せなかった。

 だからこそ、素直じゃない自分が顔を出した。
「特別だって感じるのも、記憶に残すのも、人だから」
 なんて憎まれ口を叩いてしまい、一生、西条には勝てないだろうなと思った。
 きっと、西条はその夢を実現する。

 それどころか自然に。
 勝てなくてもいいから、そうなればいいと願ってしまった。
 こういう人のことをパティシエだと呼ぶのだろう。


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