「ミルキィ☆ロール」
ホワイト・ノエル

第5話 ホワイトノエル 

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 体はくたくただったし、ここ数日間は休憩時間も惜しんでケーキを焼き続け、おまけに販売まで手伝ったから足がパンパンだった。
 今夜はゆっくりお風呂に入って、マッサージをしなくては!
 それでも心地いい疲労感に、顔がほころんでしまう。

 ああ、この充実感といったら、なんて幸せなんだろう!

 許されるなら鼻歌でも歌いたい気分だったけど、そこはグッと我慢する。
 さすがに幼い子供ではないから、浮かれるにも一人になってからにしたい。
 バイトの子はとっくに上がっていたので、私も私服に着替えてコートを羽織った。
 
「お先に失礼します」
 閉店後に厨房を片づけている店長に声をかけた。
 奥様の三咲さんが売り上げの集計をしている横で、店長は明日の予定を確認しているみたいだった。
 明日はアレルギー指定のある誕生日のケーキも予約に入っていたはずだから、材料などのチェックをしているのだろう。

 それでも、おお、と顔をあげて店長は笑った。
 この忙しい数日間に疲れ切っているだろうに、そんなことは感じさせない明るさだった。
「お疲れさん、これ、持って帰りな」
 立ちあがると何気ない調子で、中くらいの箱を渡された。
 見なくてもケーキだとわかる。

 もしかして、六号?
 この箱にちょうどいいサイズのケーキは、直径が十八センチもあるはずだ。
 独り暮らしの私にとっては大きすぎるホールだけど。

 今日は商品以外を作る余裕がないはずだし、これはどういうことだろう?
 渡されたことに戸惑っていると店長は苦笑した。
「飾りのイチゴが足りなかったんだよ。今年は粒が大きくて、数が合わなかった。ボーナス代わりだ」
 頭をかくので、なるほどと思った。


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