「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第94話 これから本番? 2

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 中庭のど真ん中には、荷物のように昏倒した野盗たちが積み上げられていた。
 その周囲は符で囲まれている。
 その横を三人はすり抜ける。

「まぁ! たくさんいたのね」
 ミレーヌは素直に驚いていた。
 雑に集められていてもほとんどが無傷で意識を失っているとわかり、オルランドはム~とうなった。

 野盗たちは魔物に対抗する力がまるでなかったのに、どうやってケガもさせずに保護したのだろう?

 人命保護に動いていたのは、一人だけだった気がする。
 たった三人で、この厄介な要塞を陥落し、野盗集団を捕獲するとは。
 流派を甘く見ていたと感じる。

 無口になったオルランドを、面白そうにキサルは見たが何も言わなかった。
 クックッと肩で笑っただけだ。

 吊り橋までは、誰にも会わなかった。
 要塞に出入りするための吊り橋に到着すると、ガラルドとそれを囲む四人がもめていた。
 外にいたデュラン達だけでなく、建物の中にいたラクシも合流して、ガラルドと言いあっていた。
 内容は聞こえなかったが、キサルはため息をついて、ミレーヌは眉をひそめた。
 どうせ要塞を壊す壊さないで、ゴチャゴチャしているに違いない。

「待たせた」
 明るいキサルの声に、ガラルドを足止めしていた四人が手を挙げて応える。
「おお、待ってたぞ」
「ミレーヌ様、ご無事ですか?」
「ずいぶん目立ってたが、怪我はないかい?」
「迎えに来るのが遅くなってしまったね」

 ガッツポーズでミレーヌは応える。
「平気ですわ。ケガもありませんの」

 その生気のある表情に、全員が弾けるように笑いだした。
 元気だろうと予想はしていたものの、ここまでハツラツとしているとはさすがだ。
 普通ならば、あんなところに吊るされただけで涙にくれて、失神してもおかしくないのに。
 気丈な朗らかさは好ましかった。

「ミレーヌ様は想像以上にいい女だ」
「実に立派で素晴らしい」
 そんなふうに笑いながらも、チラ、と流派の要らしい厳しい視線が少年に移る。



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