「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第87話 大したものだと言いたくなる 3

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 クックッと笑いをふくんだ声は、ラクシとは全く違った。
 それでも、ラクシと対面した時と同じぐらい力の差を感じた。
 本当にミレーヌ係もいたんだと、ジタバタするのをやめてオルランドはため息をついた。

 さすがに使徒は出し抜けなかったと思う。
 繋がれた首輪を引っ張り、継ぎ目一つないのでこれは魔法街の特製品だとがっかりした。
 剣で斬っても外れない。

「お兄さん、太りすぎだね。重いよ」
 唯一口が自由だったので、文句を垂れる。

 オルランドは憮然としていたが、かけらもおびえていなかった。
 間違っても捕縛された犯罪者の態度ではなかった。

 その図太さがおかしくて、キサルは爆笑した。
「上等だ、ただのガキにしとくのは惜しい。死神、お前、オルランドって名前なのか?」
 ミレーヌはすぐに発見できたが、救出に向かわなかったのはそのせいだ。
 あまりにオルランドと名を連呼するので、誰のことか理解に苦しんだのだ。

 もちろん自分たち双剣持ちのことではない。
 この砦の中に、ミレーヌの味方になるような人物がいるとは思えなかった。
 かといって、本物の現世と神を繋ぐ使者が現れる訳もない。

 誰のことだ?

 想定外のことが起こっているのなら、確かめて対処しなくてはいけない。
 そんなふうに考えて待っていた。
 檻もたいそう頑丈で安全は確保できていたから観察して、出てきた少年にポカンとした。

 まさか、誘拐犯と仲良くなっていたとは!

 驚くのを通り過ぎて感嘆してしまった。
 ミレーヌ様はやはり偉大だ。

 誘拐犯自身に身柄の保護までお願いするなんて、愉快でたまらなかった。
「まさか、オルランドなんて大仰な名を聞くとは思わなかったぞ! 小僧、自分でその名を選んだのか? 死神よりも図太くて大した神経だ」
 アッハッハッとキサルは腹を抱えて笑った。

 オルランドは眉根を寄せてしまった。
 どちらも好んで得た名前ではなかった。
「そこのお姉さんが、勝手につけたんだよ」

 首だけ動かしてミレーヌを見ると、喜びに跳ねながら満面の笑みでいた。
 まだ空には魔鳥もいて、あちこちで魔物の声もするのに、すっかりノーマルに戻っている。
 嬉しいですわ、なんて指を組んでいた。


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NoTitle 

>ミレーヌ様はやはり偉大だ。

まったくだッッ♪~(≧∇≦)

私の心まですっかり虜にしてしまってるんだもの。(・・フゥ。笑)

ッテカ、ミレーヌ様・・?

私の可愛いオルランドを(←ハァ?爆)
早く助けてさしあげてくださいな(;´Д`)ノ

Re: NoTitle 

akoさん、いつもありがとう(*^_^*)♥

ミレーヌ様、愛されてるwwwものすごくミレーヌ様らしい展開になると思うので、楽しんでもらえるといいな(*^▽^*)
オルランドはこのままツンツン(ツンデレ?)のお子様街道まっしぐらですw(爆)
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