「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第85話 大したものだと言いたくなる 1

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 屋根の上を駆け抜けた。
 風と同化する。

 オルランドは剣をかまえた。
 まっすぐにミレーヌを入れた鳥かごに向かい、周囲に群れている魔鳥に突っ込んでいくと、圧倒的な数差をものともせずに簡単に切り落とした。

 特徴は空は飛ぶことぐらいで、頭は悪いのだ。
 声や匂いに反応するだけだし、くちばしや爪は鋭いが速度や動きも普通の人間でも捉えられる程度なので、死神と呼ばれるオルランドにしてみれば大したことはない。
 集団行動をとるのは厄介だが、首を落とせばあっさり死ぬ。
 そんな、魔物としては弱い部類である。

 鍵のついているロープをミレーヌのいる鳥籠の檻の上部に引っ掛けて跳び移ると、器用に宙を舞って周囲にいる魔鳥も切り落とした。
 遠心力を利用してグルリと一回は周りを回ったが、檻に捕まって扉を開けると中に入る。

「来てくださったのね~遅いですわよ~」
 オルランドが現れたので、ミレーヌは安心したようだった。
 半べそだが、助けが来たと喜んでいる。

 ミレーヌのグズグズの顔に、はぁとオルランドはため息をついた。
 ミレーヌが思うような理由で助けに来た訳ではなかった。

 喉まで出かかった否定を飲み込んだ。
 この思い込みや勘違いが役に立つとしか言いようがない。
 頼まなくても有利な証言をしてくれそうだが、なぜだろう?
 ものすごく落ちつかず、気持ちのモヤモヤが残る。

「なんで僕を呼ぶかなぁ? 下に双剣持ちが何人もいるのにさ! わかってる?」

 とりあえずオルランドは文句を言った。
 呼ぶにはもっと相応しい相手がいるだろうとブツブツとこぼした。

「よかった本物ですわ」
 悪態をつくから夢ではなかったと、安心したようにミレーヌはにじむ涙をぬぐった。
「誰か下にいますの? わたくしには見えなくて」

 そこで初めて夜目が利かないのだとわかった。
 なるほどねとオルランドは肩を落としながら、ミレーヌの胴の綱を切った。
「月明かりや星だってあるだろ?」
「だって、だって、下は下で悲鳴だのうなり声だのでいっぱいで、怖くて覗けませんし。ずっと檻を危ない鳥が囲んでいますのよ? ここから動ける訳がありませんわ」
 メソメソしながら言い訳をたくさんしているので、わかったわかったと適当にうなずいた。
 確かに紐で支柱に縛り付けていたので、簡単に下は見れないだろう。

 そう思うことにした。


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NoTitle 

ね、怖かったねぇ、ミレーヌ。
ナデコナデコヾ(・ω・`)

オルランドとミレーヌの掛け合いも(何か違う?笑)
オルランドとガラルド達との展開も楽しみ~ッッ♪

Re: NoTitle 

akoさんいつもありがとう(*^_^*)

大丈夫、ミレーヌさんは強い子なので立ち直りも早いです←ヒドイw
楽しんでもらえてうれしい~(//▽//)♪
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