「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第83話 絶体絶命ってこんな感じ・・・・・・? 2

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 それにしても、まだミレーヌの係は現れない。
 ずいぶん長い間ミレーヌは騒いでいるというのに、ほったらかしである。
 まだ来ていないのか、実はそんな者はいなくて張ったりなのか。
 オルランドには、まったくつかめなかった。

 だいたい、ラクシだっていつどこから入ってきたのかすら見当もつかない。
 ずっと周辺に気を配っていたのに、いったいどこからきたのだろう?
 こんな不可解な状況に陥ることも、オルランドは初めてだった。

 少しでもラクシの気をそらそうと、ひたすらミレーヌのことを気の毒がって見せた。
「でも、あんなに魔鳥がいっぱい。古い檻だったから、落ちちゃったら死ぬよ? 早く助けにいかないとかわいそすぎない? 心配だよ?」
「お前がそれを言うのか?」

「だって、すごく錆びていたし」
 オルランドが憐れっぽい表情を作ると、ラクシは肩をすくめた。
「大丈夫さ。元気いっぱいじゃないか」

 そう、キャーッとかヒーッとか叫んでいるが、支柱にしっかりとコアラのように捕まって、揺らされても微動だにしていない。
 実に騒がしいが、立派だった。
 腰の紐がなくても問題なかっただろう。
 大きくて頑丈な檻のため、魔鳥の爪もくちばしもまったく届かないのだ。

「……人でなし」
「お前があそこに吊るしたんだろうが」
 もっともすぎてオルランドは眉根を寄せた。

 予想はしていたものの、雑談ではまったくラクシは揺るがずに隙が作れない。
 オルランドが腰のカバンに手を置いただけで、何を狙っているかすでに予想しているらしく、厳しい視線で偵察されている。

 ラクシは背後から入ってきた魔獣にも、振り向きもせず刃をふって切り裂いた。
 何も起こらなかったような涼しい顔で、オルランドから気をそらすことがない。

 オルランドは眉根を寄せた。
 簡単に逃げられないのはわかっている。
 けれど力技で捕獲しようとしないので、ラクシも何かを警戒しているらしい。
 じっくりと噂に聞く死神を観察しているのかもしれなかった。

 カバンの中にある携帯食を指先でいじる。
 どうにかしてこの状況を打破しようと、考えを巡らせていた。
 窓の外をすぎる魔鳥ならきっかけを作れば大量におびき寄せられるのだけど、その隙がない。

 それに、ミレーヌが騒いでいるのが気になって、オルランドは集中できなかった。
 だって、ずっと助けてと呼んでいるのが、オルランドの名前だけなのだ。
 無視したくても連呼されて気になってしまう。
 さすがにラクシも少し首をかしげた。

「それにしても、ミレーヌ様は誰を呼んでんのかね? 大仰な名だ」
 神様を呼ぶよりも勇気がいるとポロリともらしたので、オルランドは顔を上げた。
「オルランドってのはそんなに大仰な名前?」


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~ Comment ~

NoTitle 

ぉぉおおお!!
とうとうオルランドの名前の由来がッッ!!
なにやら凄いお人なのねぇぇ・・。
早く明日こーいッッ♪(笑)

Re: NoTitle 

ハイです~明日わかります(^^ゞ
それだけ楽しみにしてもらえると、メチャうれしいです♪

き、期待外れだったらどうしよう(笑)
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