「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第75話 そういえば人質でした 4

 ←第74話 そういえば人質でした 3 →第76話 嵐の前ってこんな感じ 1
 不安げなミレーヌのまなざしに、かすかに笑っただけでオルランドは檻の外に出た。
 扉を閉めると、厳重に封をする。
 力いっぱい揺らしても扉の金具が外れないことを確かめ、ヨシヨシと一人でうなずきながら納得すると檻から離れていった。

 ミレーヌが何を聞いても、耳栓をしたままのオルランドから返事はなかった。
 ただ、どことなく楽しそうだった。
 なにをしているのか、ミレーヌにはさっぱりわからなかった。

 セッセと手を動かしてオルランドは作業をすすめ、壁から突き出ていた木の杭をグイッと下に引いた。
 ガラガラとしかけの動く重い音がする。

 ガタンと檻が揺れたので、ミレーヌは支柱にしがみついた。

 ゆっくりと外に向かって動き出す。
 次第に速度を増して斜めに傾いた檻に向かって、オルランドは手をふった。
「ここから先はお姉さんの運次第だよ? お迎えが来るまで頑張りな。グッドラック」
 バイバイと陽気な口調を、ミレーヌは最後まで聞くことはできなかった。
 ゴトッと大きな音を立てて、檻が空中へと投げだされる。

 キャーッとミレーヌは大きな悲鳴を上げた。
 地面には落ちなかったけれど。
 ブラブラと左右に激しく揺れて、空中に吊り下げられていた。

 物見台よりは下だが、明らかに五階建ての建物よりも高い位置に宙づりである。
 高速で左右に揺れているため、イヤーッとミレーヌは叫んだ。
 ヒシッと支柱にコアラのごとくしがみつく。
「オルランド~っ助けて~いや~っ」

 こんな重くて大きな檻を吊るす鎖や金具が、どれだけ頑丈なのかはわからない。
 だけど支柱もずいぶんさびているし、ずいぶん使われていない気がする。
 揺れるたびにギシギシと妙なきしみがあるし、命が縮みそうだった。

「助けてぇっオルランド! オルランド!」
 静かにしろと言われたことなどすっかり忘れて、悲鳴を上げ続けるミレーヌだった。


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ

関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png 交換詩・贈答物語 七色の海
総もくじ 3kaku_s_L.png 英雄のしつけかた
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編集 ちょっぴり異世界
総もくじ 3kaku_s_L.png ミルキィ☆ロール
総もくじ 3kaku_s_L.png 喫茶ペロリストシリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 短編集 恋の卵
もくじ  3kaku_s_L.png Making Twilight
もくじ  3kaku_s_L.png 詩集 kurayami
総もくじ  3kaku_s_L.png 交換詩・贈答物語 七色の海
もくじ  3kaku_s_L.png 潮騒の詩
総もくじ  3kaku_s_L.png 英雄のしつけかた
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編集 ちょっぴり異世界
総もくじ  3kaku_s_L.png ミルキィ☆ロール
総もくじ  3kaku_s_L.png 喫茶ペロリストシリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【第74話 そういえば人質でした 3】へ
  • 【第76話 嵐の前ってこんな感じ 1】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第74話 そういえば人質でした 3】へ
  • 【第76話 嵐の前ってこんな感じ 1】へ