「英雄のしつけかた」
第四章 カッシュ要塞

第71話 危険がいっぱい 4

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 素直に背中を向けた。
 このとき、ミレーヌはつい先日のガラルドとの会話を思い出していた。
 本気で対応すれば目立たない方法も数限りなくあるけれど、あえて目につく手段を選ぶだけの理由がその影にはあると言っていた。

「ガラルド様も、同じことを言ってましたわ。それが抑止効果にもなって、無駄な争いも減ると。わたくしにはよくわかりませんけど」
 どこがどう、とはハッキリとはいえない。
 だけど、間違いないと思った。

「やっぱりあなたは東の剣豪の時のガラルド様に似ています」
 思い出してそんなふうに語りながら、ジッとオルランドの返事を待った。

 ミレーヌに断言されて、フゥンとオルランドは適当にうなずいた。
 まともな剣豪の話も少しは知っているようだと、ちょっとだけ思った。

「たくさんの責任を背負ってる人の発言と、僕を並べるのはどうかと思うけど?」
 言葉の意味はわかるけれど、そもそもの根本が違っている。
 だけど、ミレーヌはフフフと笑った。

「口だけの方と意味を持って語る芯のある方では、受け取る印象は違いますでしょう? 二人とも同じ意味合いで言ってましてよ?」
「僕はそんな大したものじゃないよ」

 冷めた返事をしても、どうかしら? とミレーヌが笑っているので会話を区切った。
 ミレーヌが相手だとペースを乱されるばかりで、論じる意味がないと感じたのだ。
 気をつけていないと、うんそうだね、なんて丸め込まれてしまいそうになる。

 ただ、本当にミレーヌが背を向けてオルランドの様子を見ないようにしているので、素直だなぁと妙な関心をした。
 まぁ素直なのはいいことだ。
 目撃談を騎士団にでも告げ口されたら、正規の罪を犯した犯罪者として追われてしまう。
 殺傷許可の出ている相手でも、息の根の止め方にまで細かい規定があるので、東の国は本当に面倒くさかった。

 ミレーヌは思い込みが激しそうなので、オルランドのことをかわいい子供だと信じているらしく、好都合だった。

 だけど。
 なにをどう間違えたら、僕が可愛いんだろう?
 なんてブツブツと心の中でぼやく。
 まぁ、ミレーヌを傷つけたらあとが面倒なことになるので、殺したりしないけれど。

 僕は死神なんだぞ?

 ただ、それを声に出す勇気はなかった。


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