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「交換詩・贈答物語 七色の海」
虹色金平糖

3.祝福の物語

 ←第63話 今わかること 2 →私は私
スクスクと育つ人魚の娘
祈りを込めて歌ってみても
その唇からこぼれ出るのは金平糖ばかり

届け響けと願ってみても
誰にも届かぬその想い
ため息さえも切なくにじんだ藤色になり
私の心は砂糖菓子でしかないのかと
かげりのある眼差しを広い海に向けるのです

それでも返す波で戻ってくる
小さなガラスの小瓶の数々に
詰まった感謝の想いを拾いあげ
癒しの甘さに安らぐ人もいたのだと
ほんの少し微笑んで
再び甘い歌声をガラスの小瓶に詰めると
寄せる波に託し続けているのです

中に変わった小瓶が一つ
目に見える物は何もないのに
コルクのふたを開けると響き渡る不思議な唄
ふるえる弦の音色は潮騒に溶けるけど
春風のように声は優しく甘く頬をなで
僕のシュガーとささやくのです

形のない贈り物
それでも響き渡るその想い
愛しいと恋しいと焦がれるほどに
私の声を必要とする人

虹色の髪をした人魚の娘
そっと閉じたまつげを震わせて
いつか会いたいその歌い手を
私のヴォイスとこっそり名付け
ひそかに想いを寄せるのです

小瓶に想いのたけと金平糖を詰め
白く泡立つ優しい波に託すと
声なき声で歌います

母様の故郷を治める海の神様
どうかどうか私のヴォイスに
私の祈りと甘い安らぎを届けてください



少年は遥か遠い異国の国にいるのです
今は粉雪の舞う北西の月の下
ゆるやかに流れる川に沿い
広い海へと道を定めて歩みます

やわらかな風が潮の香りを含む頃
よせては返す波の音に
誘われてゆけば目の前に
広い海原が開けるのです

これからどちらに進もうか?
想い悩むと波打ち際に
キラリと光る小瓶が一つ

歩み寄り手を伸ばすと
スルリと指先をすり抜けて
おいでおいでと手招くように
東に向かって流れます

少年の竪琴の音色に惹かれ
姿を現した海の精は歌い出す

お前の想い人が住まうのは
遥か遠い東南の海の果て
小瓶だけが道しるべ
その想いが本物ならば
父なる神は慈悲を見せるだろうと

これはすでに海神の導きと
少年は小瓶を追って歩き続けるのです

浜木綿の咲く優しい浜辺も
三日月を写す安らぐ浜辺も
風雪吹きつける厳しい浜辺も
その眼差しに焼きつけて

ただひたすらに足を運び
疲れた時には儚い色した虹色金平糖
口に含めばホロリと溶ける
優しい少女の囁きそのものを
その想いだけを胸に響かせるのです

癒しの甘さが尽きる頃
新たなガラスの小瓶が岸辺に打ち寄せられて
かすかな恋の切なさも秘めた淡い色した
金平糖は少年の手の中に届くのです

少年は歌に自分の想いを詰めて 
愛しい少女に伝えようと
ガラスの小瓶をそっと波に返します

小さな小さな交流は
ずっと互いの祈りを込めて
絶えることなく続くのです



数え切れないほどの月日を歩き
幼さを残していた吟遊詩人の少年は 
伸びやかな心を持つ青年になり
少女への歌と竪琴だけを友にして
海岸沿いをどこまでも旅するのです

青年の歩みを止めたのは
真っ赤な夕日に照らされた
人の身では越えられぬ海

それでも虹色金平糖のつまった小瓶は
この海を越えた国で作られたものだと
知っているのでもどかしく
どうすればたどりつけるのかと 
青年は想い悩むのです

この先は海神の領域
船を出せるのは陸地の近くばかりで
越えられるのは人魚と海竜ぐらいさと
港町の漁師たちは肩をすくめます

無駄な事だと笑う声を背に受けながら
青い月が光を落とす海岸に立ち
青年は胸に抱いた竪琴をかきならし
想いを歌に込めるのです

寄せる波 返す波
その潮騒が彩る歌声は
深海へも力強く響きます

声を持たない人魚の娘にむけた
優しく切ないその想い
儚く甘い虹色金平糖に込められた
彼女の想いにただ応えたいと願う唄

お聴きください 慈悲深き海の神様
彼女と共に癒しの唄を奏でながら
祈りを捧げる指先にそっと手を添え
声のない嘆きにも寄り添いたいのです

絶え間なく羽ばたく鳥のように
海まで越えたいと想い焦がれて幾千里
休みなく歩んだ長旅の果てでも
幾歳すぎても迷いのないその強い願い

海の父たる海神は胸を打たれて
恋うる澄んだ声に惹かれるままに
月光の下に姿を現し
鉾を掲げて海竜の背に立つと
あまたの人魚と共に
慈愛に満ちた唄で応えます

風の声した人の子よ
祈りには祈りを
愛には愛をもって 限りなき祝福を与えよう
お前の恋には虹の色した小舟が相応しいだろうと

泡立つ海から飛び出した
白い貝殻 赤いサンゴ 
青いうろこがクルクルと宙を舞い
海神の唄声に導かれるまま
姿を現したのは願いの小舟

七色の光輝く奇跡の小舟は
吟遊詩人の青年を乗せると
舵がなくても行き先を定めて航海し
寄せる波も 返す波も 切り裂いて
風とのごとくひたすらに進むのです
東へ 東へ 
人魚の住まう国の星砂の海岸へと



星砂のある海岸に立つ
虹色の髪を持つ一人の乙女
祝福に似たその姿

朝焼け色した空を見つめて
いつものように夜明けの唄を歌います
口からこぼれる金平糖を
小さな小瓶に詰めて浜辺に歩みます

波に託して眼差しを上げ
彼方から響く人魚の唄と
やわらかくかきならされる竪琴の音色と
初めて聴く風のような青年の歌声を受け止めて
その青い瞳を驚き色に染めるのです

キラキラと輝く七色の小舟は
波よりも風よりも早く海を渡り
海面を跳ねるトビウオさえも追いぬいて
星砂のあふれる海岸に辿り着きます

降り立つ竪琴を抱いた青年は
虹色の髪した乙女に気付き
やわらかに一礼すると海に向かい
器用な指先で竪琴をかきならし
海の神への感謝の想いを捧げるのです

その優しい調べ 風に似た声
祈りと慈愛に満ちた海神に捧げる歌に
人魚の娘は焦がれていた人だと知るのです

知らない歌 知らない言葉
それでも確かな想い人だと
乙女は青年の傍らに立ち
出会いへと導いた海神へと感謝の唄を
肩を並べてただひたすらに歌います

声のないその歌は
ポロポロと色鮮やかに甘い色してこぼれ落ち
虹色金平糖はあっという間に星砂を彩って
美しい夜明けへと世界を染め上げるのです

幸せ色に輝く歓喜の歌へと変わる頃
やっと会えたと二人は眼差しを合わせ

僕のシュガー
私のヴォイス

瞳だけで名を呼び合って
微笑みだけで満たされるその想い

空よりも清らかな恋心
海よりも深いその想い
風よりも遥かなその旅に
報いるのが海の神たる我の勤め

お前たちに相応しい贈り物を与えようと
海神は真珠色した祝福の光を投げれば
人魚の娘に伸びやかで優しい声が
青年に海馬で作った海色の竪琴が
それぞれの元に届いたのです

響き渡るのは初々しい恋人たちの歌声
口づけを 口づけをとはやす人魚たち
人には人の掟があると
人魚の群れを連れて海神は
広く深い海に還っていきます

見送った後
青年と乙女がどうなったのか
語らずともおわかりのはず

慈愛に満ちた両親は
物語をねだる幼いわが子に
生れたばかりの太陽を背に
初めて交わした口づけは
ホロリと崩れる虹色金平糖の
優しいのにどこか儚い甘さだったと
そっと枕元で伝えるでしょう

甘く切ない恋の色した
これは小さな祝福の物語
締めくくりに相応しいのは
お馴染みのこの言葉

「めでたし めでたし」


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友人 青木しょう様への贈答物語。
いただいたメッセージに金平糖のエピソードがあり、その甘いけれどホロリと崩れる一瞬の儚さに、この物語が浮かびました。
小学生のころは童話ばかり書いていたことを思い出し、とても懐かしい気持ちになりましたw

「めでたし、めでたし」が好きだなぁ。
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~ Comment ~

 

今日はその先(口に含んだあと)の一瞬の儚さは忘れ
ほんのりと甘い気分のまま
眠りにつくことにします♪


もぅこんな時間だけど(笑)

優しい夜をありがとう^^

おやすみなさい☆

Re: タイトルなし 

こんばんは(*^_^*)

めでたしめでたしで締めくくる、甘い夢を見れたでしょうか?
金平糖、大好きなのです(^-^)
akoさんのほっこり優しい言葉と同じで、気持ちがやわらかくなります^^

いつもあったかいメッセージをありがとう(*^_^*)♥
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