短編集 ちょっぴり異世界

水の魔女と炎の竜 最終章 水の魔女と炎の竜の御伽噺

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 むかしむかしのそのむかし。
 カラカラに乾ききった砂漠が広がっていました。
 陽は刺すような厳しさで、風は焼ける熱で叩きつけ、生き物は砂漠に近づくこともできません。
 そのうえ不毛の大地はゆっくりと広がっていきます。
 
 ある日のことです。
 砂漠の中心にある、一番大きな砂丘に舞いおりる者がいました。

 水の魔女と炎の竜です。

 水の魔女は、海を荒らす恐ろしい魔女でした。
 炎の竜は、大地を焼く嵐を起こす恐ろしい竜でした。
 ひとりとひとりでは生きとし生きるモノを滅ぼすことしかできない、かなしいふたりでした。
 命あふれる土地には住めずどこにも行き場のない、豊かな世界からはじかれたふたりでした。

 ふたりの願いは命を育むことでした。

 水の力と炎の力。

 相反するようで、命を育む原始の力。
 どちらが欠けても存在は成り立たない。
 ひとりとひとりでは世界に死を運ぶことしかできなかったけれど、ふたりならば願いはかなうのです。

 水には炎が必要でした。
 炎には水が必要でした。

 人と竜は相いれない存在だけれど、魔女と竜は手をつなぎました。
 見つめ合い、絆を結ぶように、互いの力を合わせます。

 水の魔女は言いました。
 ここにオアシスを作りましょう、と。

 炎の竜は言いました。
 ここに森を作るのも悪くない、と。

 魔女と竜が出会った時から、命の輪は巡りはじめるのです。
 ふたりは手のひらと手のひらを合わせながら、心と心もつなぎました。

 水と炎の輝きが、世界を照らします。
 豊かな水をたたえたオアシスがわきました。
 緑の葉を茂らせた森をつくりだす樹木が育ちました。
 草が生え、花が咲き、鳥が歌い、たわわな実がなり、不毛の砂漠は姿を消していきます。
 百年経っても、千年経っても消えることのない、恵み豊かな森になりました。

 森にはいつしか人が住み、街ができ、小さな国になりました。
 笑い声や歌声の絶えない、穏やかで美しい国でした。
 水の魔女と炎の竜は、小さな国の片隅で幸せな二人になって、末永く一緒に暮らしましたとさ。

 めでたしめでたし。


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