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【  2016年12月  】 

水の魔女と炎の竜 1

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.07 (Wed)

  夜明けが近い。 地平線に太陽の兆しが現れる。 闇の色が急速に遠ざかっていくのを、ラクダの背にゆられながらマーレは見ていた。 砂よけのベール越しでも差し込んでくる金の光がまぶしくて、思わず目を細めてしまう。 荒野の夜明けは急速で、伸びてくる陽光で世界が黄金色に染まっていく。 綺麗……と声にならない小さな呟きが、コロンと胸の奥に転がり落ちた。 マーレがいるのは、劇団も兼ねた大きな商隊だった。 芸を売り...全文を読む

水の魔女と炎の竜 2

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.08 (Thu)

  それから数カ月。 商隊には強い魔力を使う者も、乳幼児を持つ母親も多く、頼る大人には事欠かなかった。 村ではずっと押し黙っていたから、感情の起伏を表すことを知らなかった。 涼しげで表情が薄いから大人びて見えても、実際は人との関わり方を知らないだけだった。 不可思議な能力はこの商隊の中だと特異ではなかったことも手伝って、存在を受け入れてくれる人たちの中では、マーレはちょっと変わった十歳の子供でいられ...全文を読む

水の魔女と炎の竜 3

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.09 (Fri)

  しばらく美しい人たちをぼんやり見ていたが、マーレはふと正気に戻る。 いつまでもキャンプに戻らなければ、見張りの者が心配して探しにくるだろう。 荷としてではなく人として大切に扱われていることは知っていたので、そんな手を煩わせるような迷惑をかけたくなかった。 水筒のふたを開けると、オアシスに歩み寄り右手をのばす。 マーレが持つ水の力は直接対象物に作用するから、他の者たちのように呪文の詠唱や魔法陣の必...全文を読む

水の魔女と炎の竜 4

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.10 (Sat)

  神殿の朝は早い。 夜明けとともに、広間に集まって巫女たちは祈りをささげる。 白い大理石の床はヒンヤリとして、磨かれて艶々と輝いていた。 神官長の祝詞を捧げる声が朗々と響く。 囁くような潮騒と、吹き抜けるやわらかな海風。 太陽の光はこの世界にあるすべてに等しく降り注ぐ。 祈りの時間は、マーレにとって安らぎの時間でもあった。 神聖な場を満たす、敬虔な空気。 マーレが朝の祈りを捧げるようになってから八...全文を読む

水の魔女と炎の竜 5

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.11 (Sun)

  大祭が近づく。 開催される一カ月ほど前から、神殿の周囲はにぎわい始めている。 海辺の神殿は水と太陽を司っているので信仰者も多く、大陸に存在する大小さまざまな王国も恩恵を受けようと、神事の日に合わせて国主がやってくるのが通例だった。 長く滞在する者もいれば、神事のある三日ほどだけ訪れる者もいる。 華やかな人々が近隣の都市にもあふれるので、外交で神殿周辺の地域は潤っていた。 海の神殿にも干潮の時にい...全文を読む

水の魔女と炎の竜 6

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.12 (Mon)

  水面に雫の王冠がはじけた。 無数の波紋が表面を乱し、木漏れ日に照らされテラテラと光りながら、引き込まれる身体はあっという間に遠ざかっていく。 真水の透明さは木立の陰を幾重にも塗り重ね、果てなく沈む泉の底は闇のように暗い。 衣に含まれた空気が細やかな泡となってあふれ、シャンパンに落ちたブドウのようにマーレたちを翻弄した。 マーレの白い衣装が、ナディの桜色の衣装が、底へと引き込まれる渦の中で踊り狂う...全文を読む

水の魔女と炎の竜 7

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.13 (Tue)

  その島は、緑に覆われていた。 蔦にからまれた廃墟は、古い神殿の名残を残していた。 干潮時に陸とつながる海の道をたどる者は絶えて久しい。 信仰者を失っても海の中に浮き上がる道は神殿が機能していた頃と変わらない。 ノルマーディックの侵攻と悲劇も、水の魔女の噂とともに広まっていた。 兵も市民も神官も変わりなく、全てが海の藻屑と消えた日のことを誰も知らないがゆえに、尾ひれ背ひれがついて大きく膨れ上がる。...全文を読む

水の魔女と炎の竜 8

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.16 (Fri)

  月が沈む。 太陽が昇る。 いつまで続くかわからない、単調な毎日。 一人きりの朝も夜も、凪いだ静けさとともにある。 満潮の時に島の周りにあふれる潮騒は、穏やかな歌のように響く。 太陽が天空に高く上る頃。 ファサリ、と強く風が動いた。 廃墟の中にいても伝わってくる気配に、眠っていた魔女は身を起こす。 強すぎる太陽は血色の瞳に刺さるので、昼間は建物の奥深くにいることが多いのだ。 耳を澄まさなくても気配...全文を読む

水の魔女と炎の竜 9

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.17 (Sat)

  アルティメット。 それは天空を駆ける竜の意。 星屑を散らし、月光に浮き上がり、陽光をはじく雄姿。 身体を覆うのは降り注ぐ光を反射して輝く漆黒の鱗。 豊かなタテガミは黒々とし、青い瞳は宝石のように光を放つ。 大きな翼を広げて空を制し、鋭い牙と爪を持ち、尾の先端は矢じりのように鋭くとがっている。 初めてその姿を見たとき、マーレは驚きで息を飲んだ。 竜の大きさや威厳のある姿に対してだけではない。  海...全文を読む

水の魔女と炎の竜 10

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.18 (Sun)

  頬を打つ砂漠の風は乾いていた。 空の上でも昼の余韻で焼けるような熱を帯び、叩きつける強さでうなりをあげる。 細かな砂を巻き上げ波紋を無数に描き、つい先ほどまで見えていた岩もあっという間に飲み込んでいく様子がはるか下に見えた。  今は夜。 これから砂漠は急速に冷え込むだろう。 質量を増し動きが緩やかになる砂は、ヒンヤリとして穏やかな時を刻む。 月に照らされて輝く眼下の砂丘は、見惚れるほど美しい。 ...全文を読む

水の魔女と炎の竜 最終章 水の魔女と炎の竜の御伽噺

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.18 (Sun)

  むかしむかしのそのむかし。 カラカラに乾ききった砂漠が広がっていました。 陽は刺すような厳しさで、風は焼ける熱で叩きつけ、生き物は砂漠に近づくこともできません。 そのうえ不毛の大地はゆっくりと広がっていきます。  ある日のことです。 砂漠の中心にある、一番大きな砂丘に舞いおりる者がいました。 水の魔女と炎の竜です。 水の魔女は、海を荒らす恐ろしい魔女でした。 炎の竜は、大地を焼く嵐を起こす恐ろし...全文を読む

さよなら アンブレラ

詩集 ヤマアラシのジレンマ5

2016.12.27 (Tue)

 土砂降りの中 歩きだすさしかけられた温もりは 通り過ぎる風にあげようさよなら アンブレラ僕のかわりに 空が泣いているよ優しいだけじゃいられない綺麗なだけじゃいられないつま先で水たまりを蹴飛ばして声を出さずに 僕はここにいるよと叫んでみる涙なんてどこにもないよこぼれ落ちる雫は ただの土砂降り汚れちまった心ごと 雨は洗い流してくれるからスキップしてハミングして心つくして言葉つくして雨の音だけが 僕の友...全文を読む

カレンダー

詩集 ヤマアラシのジレンマ5

2016.12.30 (Fri)

 カレンダーの最後の一枚もうすぐペロリとはがすの淡く陽に焼けた壁の跡もこの一年だけのものじゃないけどまた新しい日付の束が同じ場所を飾ると決まっているけど今はまだはがれ損ねたため息みたいにピラピラと心残りを連れて風の中で揺れているよもうすぐ新たに迎える次の日々どうか 良き年でありますように...全文を読む

星巡りと願い星

短編集 ちょっぴり異世界

2016.12.31 (Sat)

  星巡りは世界を巡るよ。 いっそうの船に乗れるのはひとりきり。 見習いだって、ベテランだってそれは変わらない。 心を持つモノがいる場所ならどこだって行くよ。 空はどこまでも広くて、大きな世界につながっているからね。 真っ赤な髪を風になびかせて、空飛ぶ舟に乗った星巡り。 昼も夜も舳先に立って、空の上を駆け抜けていく一族の名前なんだ。 カチリと凍った心の小石を集めながら。 ズキリと痛んだ心の小石を集め...全文を読む

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プロフィール

猫乃あお

Author:猫乃あお
はじめまして!
基本はほっこりで、自分ペースで楽しんでいます♪
恋愛・日常・友情などをテーマにした、オリジナル小説や詩も掲載しています。
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※無断転載・無断引用を固く禁じます。

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