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【  2014年07月  】 

夜間水泳 第一話

短編集 恋の卵

2014.07.06 (Sun)

 「よう、久しぶり! 例の場所に、七月七日に集合だ。おまえ、絶対にこいよ」 はぁ? と首をかしげたのは、別に私が呆けているせいではない。 自宅にかかってきた電話に出るなり、見知らぬ男の声が一方的に告げるのだから、普通の反応だと思う。「どちらにおかけでしょうか? セールスならお断りです」 プチッと切ってやると、すぐさま電話がけたたましく鳴り始める。 あら、即リターン。 一つ深呼吸をして、受話器を取る。...全文を読む

夜間水泳 第二話

短編集 恋の卵

2014.07.07 (Mon)

  中学三年の夏。 梅雨も終わって初夏の蒸し暑さに、クラス全体がぐったりしていた。 エアコンなんて教室にはないし、窓を開けても風はそれほど入ってこない。 勉強どころじゃないよね~なんて思うような日が続いていたある日の朝。 教室に入ってくるなり朝の挨拶もそこそこに、佐久間はカラフルな短冊の詰まった箱をドーンと教卓の上に置いた。「ただいま願い事を募集中~商店街の活性化だってさ。おれたち受験生だし、かっぱ...全文を読む

夜間水泳 第三話

短編集 恋の卵

2014.07.08 (Tue)

  七月七日。 時間なんてあっという間に過ぎる。 指定された二十三時まで、あと十分! そういえば、今夜は新月だっけ? 月がないから真っ暗だ。 こんな時間に出歩くだけで、いつもの私じゃない。 何かあったら佐久間を恨んでやる。 なんて思いながらも。 誰にも会いませんようにと願いながら、自転車を全力でこぐ。 水着の上にパーカーとショートパンツを着こんで、深夜に疾走するとは思わなかった。 バーカバーカと百回...全文を読む

夜間水泳 第四話

短編集 恋の卵

2014.07.09 (Wed)

  私たちは夜のプールへと、侵入を開始した。  それはあっけないぐらい、簡単な作業だった。 大きく育った男子の手を借りてフェンスを乗り越えると、十分もかからずプールサイドに難なく立っていた。 中学時代はフェンスを乗り越えるだけで大仕事だった気がしたけど、やっぱりみんな大人になったんだ。 背も伸びて、力もある。 片手で引き上げられるなんて、思ってもみなかった。 まぁ、不法侵入が楽にできるようになったっ...全文を読む

夜間水泳 最終話

短編集 恋の卵

2014.07.10 (Thu)

 「なぁ。他の奴らと別れる前に、彼女って言ってもいいか?」 唐突だったから、私はその意味がしばらくわからなかった。 星空の下の花火に意識を飛ばしていたので、よけいに理解しがたい。 前後の脈絡がまるでなくてぶっ飛ぶようなことを平気でする奴だけど、ここまでいろんなことをすっ飛ばしてくるとは。「好きなのかどうなのかわかんないけど、嫌なことや辛いことがあると、おまえのこと、思い出すんだ。商店街の笹の葉見たら...全文を読む

ホットケーキ

詩集 ヤマアラシのジレンマ 4

2014.07.11 (Fri)

 甘いものは苦手なのそう言いつつ君が選んだのはホットケーキトロリと甘いメープルシロップ濃厚なチョコレート・ソースだって甘酸っぱいイチゴのジャムだってほんのりほろ苦いマーマレードも美味しく味わう方法はいくらでもあるのにねいらないわ いらないわそう言ってなじみの食べ方をはじいていくそれならフレッシュフルーツはどうだい?ねっとり優しいバナナだって甘さの中に酸味のきいたベリーだって南国の香りを連れたマンゴー...全文を読む

メロンクリームソーダ 第一話

短編集 恋の卵

2014.07.15 (Tue)

  こんなとき、何を話せばいいんだろう? 目の前に置かれたメロンクリームソーダに最初の目的を忘れるくらい、私はせつなかった。 かわいらしいサクランボがちょこんと乗っている。 はじけ足りないと暴れそうな色鮮やかなグリーンのソーダを、白いアイスがギュッと押さえつけていた。 私の気持ちも行き先を失ってる細かな泡みたいなものだなぁと思いながら、子供じゃないもんとチクリと返す言葉を飲み込んだ。 確かにかわいい...全文を読む

メロンクリームソーダ 第二話

短編集 恋の卵

2014.07.16 (Wed)

 「今日はずいぶんおとなしいね」 うん、と私は小さくうなずいた。 言いたいことが胸のあたりで渋滞して、うまく出てこない。 顔を上げると、高橋さんは私をそっと見つめて、ゆっくり話してごらん、と伝えるように微笑んでいた。「不安になっても仕方ないか。進路を決めるのって、簡単じゃないよね」 言葉を慎重に選んでいる穏やかな物言いに、キュッと胸を掴まれた気がした。 確かに口実にしたけど、本当はそんなことを相談し...全文を読む

メロンクリームソーダ 最終話

短編集 恋の卵

2014.07.17 (Thu)

  せわしなくスプーンをいじる私の落ち着かない様子に、高橋さんはクスクスしばらく笑った後で、フッとため息みたいにこぼした。「だって、今日は笑わないから」「笑わない?」 確かにうまく笑えなくて、赤くなったり下を向いたり、動揺しまくってるけど。「それはきっと、高橋さんがいつもと違う格好だから」 スーツ姿がぴったりはまっているから、私なんかより大人だと痛いぐらい感じてしまう。 似合ってるのが嫌なんて子供そ...全文を読む

作品紹介

Making Twilight

2014.07.17 (Thu)

 診断メーカーや雑談から生まれた、いろいろの詰め合わせ。基本は書きっぱなし。...全文を読む

「あなたなんて」

Making Twilight

2014.07.17 (Thu)

 「あなたなんて、死ねばいいのに……」 ふっと洩らした言葉にも、彼は動揺すらしない。 そんなことはわかりきっていたけれど、ほんの少しでいいから揺らげばいいのに。 そう願う私の心は、銀の食台で揺れる淡い炎のようだ。「どのような最期をお望みですか?」 返ってきた聞きなれたセリフに、目を伏せることしかできない。 あたりまえに答えるのは、彼が人ではないから。 彼は我が家に伝わるオパールの腕環に棲む魔物だ。 地...全文を読む

手を取る

Making Twilight

2014.07.18 (Fri)

 暗闇の中を二人で歩いていた。住み慣れた町は国境にあるから、戦のたびにこうやって逃げていた。だけど。兵士だけでなく住民まで巻き込む戦争に、慣れることはできない。父はとっくに戦場で散っていたし、母も半年前に亡くなった。私たちの国は強いので、軍隊が到着さえすれば、いつだって敵を押し返す。それを堂々巡りだと判断したのだろうか。いつもなら街を再利用するためか建物を残していた敵兵が、今回は火を放ち住み慣れた家...全文を読む

こっちみてよ」

喫茶ペロリストシリーズ

2014.07.19 (Sat)

  夏だ。 ミンミンと蝉がうるさく鳴いている。 俺が喫茶ペロリストにマスターとして雇われてから、初めての夏。 営業前の時間なのに、ウサギたちはだらしなく伸びている。 うん、暑いからな。毛皮を着てるから、俺より暑いはずだ。 などと思いながら、ランチの仕込みをしていた。 個性的なオーナーたちは相変わらずゴーイングマイウェイのままだが、奇跡的に店はつぶれていない。 やはり、珍しいウサギ喫茶であることと、コ...全文を読む

星恋 もしくは 蛍恋

ショートショート 恋重ね

2014.07.20 (Sun)

 星のない夜でした月のない夜でした暑い雲が空を覆い隠し圧迫されそうなほど 閉ざされた夜でしたうだるような暑さの中で今夜はちょうどいいと言う 不思議なあなたに手をひかれ真っ暗なあぜ道を歩きました小さな懐中電灯だけが心もとない希望のように見えましたおぼつかない足元で慎重に歩を進めるだけで玉になった汗がツウッと流れ落ちましたどこまでいくの?不安になって聞いてみたけどあなたは何も言いませんでしたもとより口数...全文を読む

美しい人

Making Twilight

2014.07.21 (Mon)

 「踊っていただけますか?」 手を差し伸べると、フッと彼女は鼻先で笑った。 切れ長の鋭い眼差しが、夜会には不似合いな光を宿していた。「気を使わなくとも、私は充分楽しんでいる。王子なんだからその辺の美人でも捕まえて、ホイホイ踊ればいいだろう?」 カラリとした市井の傭兵に似た口調に、思わず私は苦笑する。 それが彼女の本音だと知っているからなおさらだ。 シャルロッテは十五歳まで辺境の市井育ち。 幼い子供で...全文を読む

空と海だけ

詩集 ヤマアラシのジレンマ 4

2014.07.23 (Wed)

 心だって身体だって傷が深いと塗りこんでいくのが塩なのか薬なのかまるでわからなくなるただピリピリとヒリヒリと自己主張する痛み今はまだ 何をやっても傷なのだどうせ時間薬しか効かない傷だし今は癒されなくてもいいやと思いながら痛みにとらわれたまま歩き続け引き寄せられるのは空と海の見える場所視界を埋める情景に気持ちごと 目を奪われる砂と雲の白さに惑わされることなく鮮やかに透き通る南国の青ひとり 見つめるのは...全文を読む

「夜の橋」

Making Twilight

2014.07.24 (Thu)

  月が丸いわ。 魔界から地上に出た途端、ふわりと夜風が頬をなでた。 ふふ、と思わず笑ってしまう。 赤くて丸い月が、私を見ている。 そして月を背にして立つ、細身の男も私を見ていた。 闇に浮かぶスーツ姿はひょろりとしているのに、眼差しの鋭さのせいか威圧感がほとばしる。「また、あなた?」 ああ、この感情を何と呼べばいいのだろう? 憎々しげな表情に出会っても、口元が思わず緩んでしまう。 全身に感じる殺意す...全文を読む

トックリキワタが見たいんだ

詩集 ヤマアラシのジレンマ 4

2014.07.26 (Sat)

 青い夏空白い入道雲夏だ 夏だと呟きながらモクモクとわき立つ熱に浮かされながら用意するグラスは空より鮮やかな青麦芽の強い黄金色の炭酸に 一切れの檸檬を入れて苦いゴーヤをチビチビつまみ遠い南国に思いをはせるカンと強い太陽は何だかまぶしすぎる気がして真夏の空が鮮やか過ぎる気がして泡盛ロックを夢想しながら目を閉じる雨に煙る まぁるく優しいアカバナではなくとがった刺で冬空を刺す トックリキワタが見たいんだち...全文を読む

「夜の橋 2」 もしくは 「惚れたほうが負け、とはよく言ったもんだ」

Making Twilight

2014.07.27 (Sun)

 「ねぇ、遊びましょう……月が消えるまで」 甘いささやきが鼓膜を震わせる。 赤く艶のある唇からこぼれる柔らかな声は、ひどく場違いなものだ。  キィン! 鋼の打ち合う音も、空気を切り裂く音も鋭い。 上段から振りおろされる赤い刀身をはじきざま、俺は刃を返し深く踏み込んだ。 人にはない素早さで、ふわりと女は宙に身を躍らせる。 その高さも優雅さも、楽しみに満ちた笑い声も。 すべてが彼女を魔物だと示していた。 ...全文を読む

「恋花火」

Making Twilight

2014.07.28 (Mon)

  祭りは日本独特の文化ですね、と 焦がれるようにつぶやくあなたは 祖母の家にいる居候 少したどたどしい日本語の 英国籍の講師なのです それほど話したことはないけれど 日本の文化を教えてあげなさいと、呼ばれた私 視線のやり場に惑うのは 同じ年頃のせいではなくて 青い瞳が怖いぐらいまっすぐだから 揺れる提灯は 赤く連なり 色とりどりに 並んだ屋台 焼きそば 綿菓子 リンゴ飴 行きかう人の 晴れやかな笑...全文を読む

「いらない愛」

Making Twilight

2014.07.31 (Thu)

  真夏の太陽がいやがらせのように強く降り注ぐ。 それでも樹木の多い公園内だと、木陰にいればそれなりに心地いい。 風が吹き抜けるベンチに座ってくつろぐ、つかの間の昼休憩だ。  ふうっと息をつく間もなく、どこからともなく彼女が現れた。 あたりまえのように俺に近づくと、何も言わずに寄りそってきた。「よせ、暑いだろう。夏なんだから、離れろ」 きつく睨んでも、彼女は聞こえないふりをして俺にもたれてくる。 ふ...全文を読む

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プロフィール

猫乃あお

Author:猫乃あお
はじめまして!
基本はほっこりで、自分ペースで楽しんでいます♪
恋愛・日常・友情などをテーマにした、オリジナル小説や詩も掲載しています。
著作権は放棄していません。
※無断転載・無断引用を固く禁じます。

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