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【  2013年08月  】 

第49話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.01 (Thu)

  私は握りしめられた手を、茫然としたまま見つめる。 西条のことは大嫌いだったけれど、繊細で優雅な動きを見せるこの手は好きだった。 いつも動きに見惚れるばかりだったので、こんなふうに触るのは初めてだ。 大きくてあったかいな~なんて場違いな感想を抱きながら、私は条件反射のように流されて握りかえす。  だけど、すぐに気がついた。 この握手、成立させてはいけないんじゃないの? あんまり驚きすぎて、思考がう...全文を読む

第50話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.02 (Fri)

  フフン、なんて勝ち誇ったように西条は笑っているから、最初からそのつもりだったに違いない。 ええ、そうよ。そうでなくちゃ、あんな大きなトランクが必要な訳がない。 確信犯かい! この男、なに考えてるのよ。 どこまで自分本位なのかしら。 いきなり泊まるなんて、あれやこれやいけないことを、つい考えちゃったじゃないの。「おことわり! 西条と付き合うなんて、私、一言も言ってないから!」 へぇ、と優雅に見える...全文を読む

第51話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.03 (Sat)

  ほっといて! と叫びかけて、私は言葉を失った。 だって、現実の私自身を振り返ってみると、衝撃を受けるしかない。 仕事に行って、休日もケーキ屋や食材探しに歩きまわって、同期も女の子か清水先生ぐらいとしか連絡をとっていないし、出会いの場なんて皆無だ。 それどころか今までに、恋、したことあったっけ? 小学校の初恋ぐらいじゃないかしら? 最後に胸がキュンキュンとときめいたのは、店長の作ったケーキのスポン...全文を読む

第52話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.04 (Sun)

  背後にどんよりした暗雲を背負っているような私の様子に、クスクスと勝ち誇ったように西条は笑った。「なに? 今まで男っ気ないことすら気がついてなかった? 相変わらずのとぼけ方も、まる美らしいなぁ」 キッと私は涙目で西条をにらみつける。「ほっといてよ」 あんたのせいで、見てはならない領域に気がついちゃったじゃないの。 だけど私が男にもててももてなくても、世界は少しも変わらない。 朝が来て、夜が来て、太...全文を読む

第53話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.05 (Mon)

  そうよ、西条は私の天敵。 素直になればなるほど、正直、悪態しか思いつかないんですけど。 普通の女の子だったらクラクラしちゃうような顔だし、柔らかで優雅な物腰だし、稼ぎだってかなりいいはずだし、ムカッとする嫌味も私限定だし。 人並み以上にカッコいいって認めるし、魅力のある人なのも確かだけど。 こいつはケーキにしか興味のない変態で、私にだけやたら突っかかって来るのよ。 うなずいてたまるものですか! ...全文を読む

第54話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.06 (Tue)

 「言うことはそれだけか?」「だから、嫌いだっつってんの!」「俺が好きだから、気にしなくていい」 うわ、恥かしいことを真顔で言った! それも、今度はキッパリと。 言われ慣れていないから、クラリとした私をどうか責めないでほしい。 心拍急上昇はただの条件反射で、意味はない。 そう、意味はないはず。 ああ、だけど西条の瞳は果てしなく真摯だった。 見つめられただけで、吸い込まれそうだった。 一瞬、その真剣さ...全文を読む

第55話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.07 (Wed)

  背中に、ドン、と壁に当たった。 もう、下がれない。 ピーンチ! 「あきらめろ」 なんて、ほがらかに西条は笑った。 勝ち誇った顔なのが神経に触るけど、逃げ場がないのは確かだ。 しかし私は、こんなときに泣いたりするほど、かわいい性格ではない。 シャカシャカと忙しく床を手探りして、何か武器になりそうなものを探す。 指先にフワンとした手ごたえを感じた。 そうそう思いどうりに運ばせてたまるもんですか。 手...全文を読む

第56話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.08 (Thu)

  悔しいから近くに合ったティッシュの箱や、小物も投げつける。 でも、全部防がれてしまった。 なんて嫌味なほどできる存在なのかしら。 ムリ、ムリじゃないと、お泊りについて口論したけれど。 私が口で西条に勝てるわけがないし、大騒ぎになってしまった。  とどめのように「帰れ!」と叫んだ瞬間。 ドンドンドンドン! お隣からものすごい勢いで壁叩きにあい、抗議をされた。 ハウッと私は息をのんだ。 日頃は温厚な...全文を読む

第57話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.09 (Fri)

  声をひそめた静かな舌論のすえ、結局、私が折れるしかなかった。「一緒には絶対に寝ないからね! 泊めるだけだから!」 キッパリと宣言しながら、セコセコと布団を用意する。 敷布団は一つしかないから、ここは西条に譲って恩を売ってやるんだ。 いいもん、私には着ぐるみパジャマがあるから、寝袋と変わりないもん。 クゥッと悔し涙を必死で飲み込んでいると、容赦ない声が背後から飛んでくる。「そう? まぁ、それでもい...全文を読む

第58話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.10 (Sat)

  遠くで音がする。 リンリンと次第に大きくなる時計の音。 なんだかやたらと重い身体をなんとか動かし、鳴り響く目覚ましの音に向かって手を伸ばす。 怒涛のようなクリスマス商戦の疲れが、どっしりと疫病神のように身体にのしかかっている気がする。 一時間なんて欲張らない。だから、あと五分だけ……と思いながらも、その欲求を満たすと後悔するから、ここはあきらめて起きないと。 チン。 時計に手が届く前に、音がやんだ...全文を読む

第59話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.11 (Sun)

  とはいえ。 確認している場合ではないと、一気に目が覚めた。 この声は本物の西条……身体が重いと感じていたが、それもそのはず。 しっかりと抱きしめられているではないか! 何を寝ぼけていたの、私は! 目を開くと、至近距離にある西条の顔。 近い。非常に近い。 いや、抱きしめられているのだから、近くて当たり前だが、それでも近すぎる。「あ、やっと起きた」 おはよ~なんて笑う顔は夢みたいに綺麗で、おでこにかか...全文を読む

第60話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.12 (Mon)

  ペタペタと自分の服装を忙しく自由になった片手で確かめて、すぐにホッとした。 大丈夫。毛布代わりに来たトレーナー類も、寝袋代わりに来ている着ぐるみパジャマも、昨夜と変わらず身につけている。 冬の寒さに負けない、完璧な重装備のままだ。 どうやら記憶がないままに、あらまぁ大人事情になっちゃっいました~なんて最悪の事態は迎えていなかったらしい。 ぐっすり眠って前後不覚になっていたとしても、これだけ着てい...全文を読む

ただ 星に願いを

詩集 よりそう翼

2013.08.13 (Tue)

 今宵の流星は鮮やかで涙のようにとめどなくあふれ美しい光を散らしながら夜を駆け抜けていきます降りしきる流星はあなたの言葉に似て心にやわらかく降りつもり静かな微笑みを私にくれるのに涙を消してくれるあなたの優しいすべてに私は優しさを返せませんとがった私の心ではあなたの涙もあなたの苦しみも癒すことができないのですもしも私の声が届くなら伝えたい想いがあるけど言葉にすると壊れてしまいそうだからそっと胸の奥にし...全文を読む

第61話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.13 (Tue)

  必死に離れようとしていたら、プッと西条は吹き出しした。「寝てる時のまる美って、面白いよな」「お、おもしろい?」 なんだか聞き捨てならない台詞……と言うか、ありえない表現なんですけど。 強引に押しかけてお泊りした西条の方がよほど非常識。 どうでもいいが、離れない。 ム~ッとうなりながら手を突っ張っても密着したままだ。 幸い(?)なことに、着膨れしすぎて相手の体温も何もわからないが。 と言うか、もしか...全文を読む

第62話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.14 (Wed)

  言葉を失った私とは対照的に、西条は愉快そうだった。 あきらかに面白がっている。「ガンガン壁に激突しながら、動けない~ってうなされてたからさ。ちゃぶ台外したら、コロコロ転がってきたんだよ。俺の手にスリスリしながらクークー寝てるからさ~おかしくて。まる美、寝てたら素直だよな」 そんなことしてない。と言うか、していても寝てる間の行動には責任もてません。 無防備に寝ぼけているところを、西条に目撃されてし...全文を読む

第63話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.15 (Thu)

 「なんでそんなこと……」 抗議しようと思ったら、ヒョイと態勢を変えて西条は私の上に乗った。 驚くほど間近にに西条の顔が来て、心臓が止まるかと思った。 うわ、息づかいがモロにわかる。 なぜか、背筋が甘い感じでゾクゾクした。 ほんのちょっと位置がずれると、顔同士がくっつくぐらい至近距離で、息をするのも緊張する。 ぎくしゃくする私の耳元で、西条が小さく囁いた。「一夜を共にして、このまま何もないままなんて、...全文を読む

第64話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.16 (Fri)

  眠い。 そして、右手が痛い。 手の甲が、心と一緒にズキズキする。 ちゃぶ台に突っ伏して、私は溜息をついた。 この手の痛みが、私自身のかわいくない部分を象徴していた。 いくら半分寝ぼけてとっさだったとはいえ、しびれるほど殴ってしまうとは。 手加減と言うものが、私の辞書にはなかったらしい。 夢見るようなロマンティックな展開が、柄ではないのはわかっている。 だけど、少しぐらい夢を見たいのに。 カミサマ...全文を読む

第65話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.17 (Sat)

  それにしてもおいしそう。 綺麗な指先の動きで作り出すのは、バターの香りが漂うふわりとしたフレンチトースト。 疲れている時には甘いもの。 そんなふうに笑いながら、トランクから冷蔵庫に移していた朝食の材料も次々に取り出したので、あきれる前に感心してしまった。 本当に私の承諾もなく、泊ることを前提に用意していたらしい。 自分勝手すぎると思いながらも、私の身体は匂いに正直に反応した。 見事な黄金色のフレ...全文を読む

第66話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.18 (Sun)

 「おいしいだろ?」 どうだ参ったか、とその眼差しが語っていた。 参りましたよ、文句無しでおいしいですから。 心の中でそう答えたけどあえて返事をせず、黙々とフレンチトーストを平らげる。 返事の代わりに見せるのは仏頂面で十分。 声に出して、西条が喜ぶことを言いたくない。 かわいくないって思われてもいい。 これ以上自由奔放に、強引な振る舞いはされたくないもの。 西条はきっといままで女の子にも不自由せず、...全文を読む

第67話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.19 (Mon)

 「聞いてただろ? 鍵」「鍵?」 キョトンとしてしまう。 自分の思考に没頭していて、まったく聞いていなかった。「ゴメン、寝てた」 適当な言い訳を作ると、西条は軽く肩をすくめた。「俺の仕事は午後からだし、今から少しでも寝る。まる美は出勤するんだから、開けっぱなしはいけないだろ?」 ポロリ、と私の口からフォークがこぼれ落ちた。 お皿の上で、カラカラと音を立てて回っている。 なんだかありえないことを言われ...全文を読む

第68話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.20 (Tue)

  どうしよう? どっちつかずの座りの悪い気持ちを西条には全て見透かされているみたいで、それが更に落ち着かなくさせている。 昨日からの私の対応は、非常につれないモノであるはずなのに。 めげないうえに、どうしてそんなに余裕のある表情でいられるのかわからない。 私は、私自身の気持ちさえわからなくなっているのに。 やっぱり西条には敵わない。「まる美、時計見ろ」 不意に言われて、私はため息をついた。 出勤時...全文を読む

第69話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.21 (Wed)

  いまだかつてないほど、落ち着かない。 自宅の玄関前で、私は戸惑っていた。 西条は、もういないはず。 現在、高級ホテルの厨房にはいり、仕事の時間帯。 だけど、今朝はここで別れたのだ。 自分の家なのに、入るのに勇気が必要なのは何故だろう? お隣さんにケーキを持って行き夜中に騒いだことは謝罪したし、このまま自宅玄関に立ちつくしていたらただの不審者だ。 私は気を取り直して、鍵を取り出した。 そしてゆっく...全文を読む

第70話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.22 (Thu)

  ハッとする。 さっき素通りしたけど、ありえない状況だといまさら気がついたのだ。 なぜ、ちゃぶ台の上に鍵が? 玄関の鍵を閉めたのなら、ポストに入っているはず。 ちゃぶ台までダッシュして、残された書き置きを鷲掴みにする。 そこには、西条の家までの交通手段や連絡先が書かれていた。「さ、西条~計ったわね」 プルプルと震えるしかない。 そう。 残されていたのは西条のマンションの合鍵だったのだ。 もしかして...全文を読む

第71話 ホワイトノエル

ホワイト・ノエル

2013.08.23 (Fri)

  それにしても。 私は真奈美なのに、あいかわらずまる美へって書いてある。 残された伝言に小さくサインされた西条の名前は、あいかわらず名字だけだ。 フルネームは西条ひろみなのだが、名字で呼ばれるのを好んでいる。 と言うか、自分の名前が嫌いなんだと思う。 きっと、女の子みたいな名前だから。 顔がいいばかりに容姿でも間違われたらしく、幼少期にはずいぶんからかわれたらしいし。 それまでの人当たりのいい笑顔...全文を読む

教えてあげない

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.08.24 (Sat)

 視線を交わして会話する事が簡単だった時には気の合う友達だよなんて本気で口にしてたけどね簡単には会えなくなってあなたのこと好きだって気がついたの空が透き通った日にこの青さをあなたも見ているのかしら、とか流星が降る夜に会えなくてもいいからちょっとだけ声が聞けたらいいな、とかふと考えてしまうぐらいあなたのことが好きだからあなたのことずっと応援してるし味方でいるよって伝えても理由には気がつかない朴念仁でい...全文を読む

ほんの少し

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.08.25 (Sun)

  電話越しに  ほんの少し 声を聞いて  ほんの少し 沈黙して いつだって会話できるよねって ちょっとだけ笑ってみるよ  口からこぼれ落ちそうだった「逢いたい」を飲み込んだ  ほんの少し 淋しい夜...全文を読む

世界で一番幸せな日

詩集 ヤマアラシのジレンマ 2

2013.08.26 (Mon)

 あなたの教えてくれた幸せの詰まった本を読んでみるこれがあなたの感じる幸せの一つなんだってちょっとだけわかった気になってほんのり胸が温もるのは悪くない時間いつか同じ時間を過ごし背中合わせに座りながら幸せなストーリーを交換し軽く支えあえたらいいのにあなたの幸せと私の幸せが勧めあったお話でこれってわかる、なんてふんわり笑えるように心がリンクしたならそれはきっと世界で一番幸せな日...全文を読む

月のガラス

詩集 ヤマアラシのジレンマ 2

2013.08.27 (Tue)

 青い月の光は小さな願いを受けて透きとおったガラスの靴になるでしょうほのかに輝く月のガラスはもろくて儚い想いの欠片優しいステップ切ない涙につまづいて細いヒールが砕け散っても光に戻りあなたの上にふりそそぐでしょう……...全文を読む

空模様

詩集 ヤマアラシのジレンマ 2

2013.08.28 (Wed)

 あなたに 会えない日だって淋しくないよホントなんだから大丈夫泣いたりしないものなんて空を見ればポツリポツリと空が泣いている頬をつたうのは涙じゃなくて優しい雨なの嘘つきなんて言わないで慰めなんていらない会えた日にはそっと笑ってよそれだけで心はいつも晴れ模様ずっとあなたを忘れない...全文を読む

睡蓮の花

詩集 ヤマアラシのジレンマ 2

2013.08.29 (Thu)

 手をふりあげるそんな暴力よりわかりにくいけど言葉だって態度だって心には痛いんだよ辛くて苦しくてヒリヒリしたまま傷はどんどん化膿してちっとも治らないんだ時間が経ったら治るとか忘れるとか無かったことになるとか貰った慰めなんてぜんぶぜんぶ嘘じゃないかつまづいてころんで倒れたまんま痛い痛いと泣いている怒ったり憎んだり憤ってさらけ出せば楽になるって言うけど湧き上がる感情なんて砂粒ほどもないものからそんなのち...全文を読む

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猫乃あお

Author:猫乃あお
はじめまして!
基本はほっこりで、自分ペースで楽しんでいます♪
恋愛・日常・友情などをテーマにした、オリジナル小説や詩も掲載しています。
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※無断転載・無断引用を固く禁じます。

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