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【  2013年04月  】 

道きり 第四話

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.01 (Mon)

  ブルッと思わず震えてしまい、俺は腕を抱いた。  よそう。よくないことは考えないに限る。 「とにかく引き返そう。どっかで道を間違えたんだ。夜通し迷子なんて御免だしな」  視線を敦志に戻したが、そこには誰もいなかった。 「敦志?」  名前を呼んでも、返事はない。  俺は立ちつくすしかない。  あたりはすでに闇に包まれているのに、なぜだか目の前にある祠だけはくっきり見えるのが、やたらに恐い。  浮き上がって見...全文を読む

道きり 第五話

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.02 (Tue)

  迷った時間の長さを思えば、嘘のように簡単に大通りに出た。  行きすぎる人の奇怪な視線を受けながら、とにかく俺は走った。  走って、走って。  少しでもあの祠から遠ざかろうと、走り続ける。  ゼェゼェ吐息を切らせながら、もつれそうな足をなんとか動かす。  やっと、知った場所に辿り着く。  あと五〇メートルも走れば、俺のアパートだ。  もう少しで、我が家だ。  安っぽい部屋がやけに懐かしかった。  助かった...全文を読む

道きり 最終話

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.03 (Wed)

  目が覚めると、病院だった。  思わず身体を確かめた。  アパートの前で転んだ傷以外は、ケガもないようだった。  俺は何度も額や頭を確かめた。  確かに敦志だった鬼の爪は、俺の脳天を割ったと思ったのに。  ケガ一つないことはありがたかったけれど、釈然としない。  わからないことばかりだった。  俺は自分のアパートの前で倒れているのを同じアパートの住人に発見され、救急車で病院に運ばれたらしい。  三日もの間...全文を読む

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.04 (Thu)

 梢の先が朱色に染まる燃え立つ色を全身に巡らせ膨らむ蕾に全ての命を贈るように厚い皮の下で鮮やかに色づいている咲き誇る前の一瞬鮮烈な紅に秘めた情熱風に舞う花吹雪は美しいけれどその淡く薄い花びらを美しく染め上げて燃え立たせる梢の赤ほど激しいものはない散りゆく花よりも美しい色づいた梢その命の色は恋に似ている...全文を読む

さくら

詩集 よりそう翼

2013.04.07 (Sun)

 薄紅の花が咲いたよ軽やかな風に頼んでみようとおく とおく運んでほしいの空を見上げるあの人の手の中へとふわりと舞い降りるほどはるか かなたまでそう乱れ散る花びらにそっとたくすほどこころはいつも やわらかい...全文を読む

近くにいるのに遠い君

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.13 (Sat)

  心はいつも 側にいるみたいだね ほら届いた 君からのメール「なにかあったの? あなたから、元気か?  なんて ほっとくと2週間は 音沙汰ない人なんだもの 気になって仕方ないわ また連絡ちょうだい」 なんにもないよ なんにもないけど 毎日があわただしすぎて 心が少し死にそうなんだ なんて 素直にぼやける訳もなくて ほんの少し 息を深く吸い込んで 指に馴染んだ君の番号 そっとたどるんだ「笑いが足りな...全文を読む

優しさに包まれたなら

詩集 よりそう翼

2013.04.16 (Tue)

 細い三日月が笑っているよあいかわらず泣き虫な奴だと理由なんて忘れたけど気が付いたら涙がこぼれてポロポロとポロポロとどこまでも流れて青い海になるんだその悲しい青さに泣きながら身を浸すと真っ白な人魚になって果てしない深みへとこの身を躍らせる海はいつも冷たくて哀しい暗闇の奥にある虹色の貝殻に隠れた透明でやわらかな小さな光を見つけそっと抱き締めたならきっと息をすることすら忘れてしまうだろう哀しい海に眠る優...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を  1

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.18 (Thu)

  ここは、砂漠と海の国カタリーナ。 月と闇の女神の名前をそのまま戴く、闇の領分に生きる国。 砂漠と海しかなく、荒廃した土地が広がるばかりで、農業どころか緑の恵みに縁がない。 よくこんなところに人が住む気になったとあきれるほどの土地柄だが、大陸同士をつなぐ半島にあり海峡の中心に位置しているので、カタリーナを中継しなければ交易が成り立たない。 ただ自国で産業を興そうとしても環境が劣悪なので、人の持つ技...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を 2

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.19 (Fri)

 「もう営業時間だっつってんだろ~が、わかんねぇ奴だな」 チッと舌打ちするジークに、カウンターに座っていた黒髪の女がクツクツと笑う。 シャンパンゴールドのチャイナドレスを着て、艶めかしい眼差しが煽情的だ。 深紅のルージュがよく似合っている。「ケーキぐらい、買ってあげれば? 表通りのサンタリノ、深夜まで営業してるわ。客なんて待たせりゃいいのよ」「ルヴィの言うとおりだ。あそこなら間違いがねぇしな」 この...全文を読む

詩集 よりそう翼

2013.04.19 (Fri)

 真ん丸な月が見下ろしてくる明るい大潮の夜溜息が海に堕ちてふわりふわりと波に翻弄されつつゆっくりと海底に沈んでいくどこにもいる場所がないとさまよい続ける小さな嘆きに小さな貝が口を開きここへおいでとつぶやいた君も僕もこんなに小さいどこかにいるのも難しいからこの広い海の片隅で一緒に少しだけ眠ろうよ光も射さない海の底でまどろみながら夢の水泡を吐いてプツリと弾けるプリズムに鮮やかな夢を見る水面できらめく光乱...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を 3

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.20 (Sat)

  カラン、と扉の鈴が鳴った。 一人の中年男が入ってきた。 どこからどう見ても観光客そのものの洒落た服装をしているうえに、視線がオドオドとしてどこか挙動不審である。「あら、悪いけど今は準備中よ。おまけに今日は貸し切りなの」 膝の上に抱いていたアリスを床に下ろすと、ルヴィはコツコツとヒールを慣らして歩み寄り、さぁ! と扉を開けた。「お帰りはこちら。異国の紳士が、こんな裏の居酒屋に入ってくるものじゃない...全文を読む

ここから

詩集 よりそう翼

2013.04.20 (Sat)

 ここからはじまってここで終わって気ままに進むはずがもっともっとと急きたてられて少しの早足ならと歩を速めたけど結局は小走りになって自分のために歩くはずが周りの声がうるさいほどにまだ足りないこれは応援だともっともっととけしかけるからいつのまにか全力疾走走る速度が早すぎて何も見えない何も感じないただ息が苦しいここで終わってここからはじめる今は一人誰もいない場所ふんわりとした空気漂う誰もいない場所今は一人...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を 4

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.21 (Sun)

  腕を組んで見下ろしていたルヴィは、は~っと長いため息をついた。「本格的にバカにされるのが嫌なら、このまま帰りなさいよ。そうすれば大切な物は失わなくて済むわよ」 シッシッと追い払う仕草に、うるさい! とハーディは叫んだ。「あれは妻に初めてもらったものなんだぞ。返せ!」 中肉中背でさえない恰好をした中年男でも、どうやら愛妻家らしい。 お気の毒さま、と口の中でルヴィはつぶやいた。 盗品をずっと手元に置...全文を読む

心が貝に

詩集 よりそう翼

2013.04.21 (Sun)

 心が貝になって硬く口を閉じ想いを吐きだすことすらできずよせてはかえす荒波がただ通り過ぎるのを待つのです心が貝になってプクリと小さな息を吐き痛いぐらい心が固まっているとシンシンと更ける夜にただ静かに沈むのです心が貝になっていつかはハマグリのように色鮮やかな蜃気楼を生み出せる日を夢見つつ今はただまどろむことしかできないもしもアコヤになれたなら胸に深く刺さった言葉の棘もいつしか虹の輝きを持つ丸い真珠にな...全文を読む

詩集 よりそう翼

2013.04.22 (Mon)

 空が泣いていた誰もいない静寂の中で私のかわりに静かに息をひそめてそっと空が泣いていた降りしきる雫を頬で受けながら心の奥にわだかたまる大きな穢れを清めてほしいと声もなく祈っている手のひらを堅く握りしめたままなら何もつかめないとポツリとつぶやいたここにはいないあなたを思い出しながら両手を開き空に手を伸ばしていつか心のままに笑い気の向くままに歌い安らかな心持ですごせる穏やかな居場所が欲しいとたあいのない...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を 5

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.22 (Mon)

  赤や金の色とりどりの紙吹雪が降り注ぎ、視界を覆った。 何が起こったのかはハーディにわからなくても、生きていることだけはわかった。 破裂音は横からしたとチラリと目をやり、栗色の髪をした美少女が口をとがらせているのに気がつく。 アリスのその手には、大きな使用済みのクラッカーが握られていた。「……お誕生日……」 こんなところで使う気はなかったのにと、不満タラタラの様子だ。 ハァァ~と長い気の抜けた声をもら...全文を読む

右手に銃を 左手に愛を 最終話

短編集 ちょっぴり異世界

2013.04.23 (Tue)

  お待ちかねのケーキを渡されて、アリスは愛らしく微笑む。 フンフン♪ と鼻歌交じりに、イソイソとセッティングを開始していた。 嵐の過ぎた店内でその様子を見ながら、ルヴィはカウンターに座ってグラスでウィスキーをチビチビとやっている。「おい、いい加減物騒なもんはしまえよ」 気にいったのかルヴィが右手でずっとリボルバーをもてあそんでいるので、調理をしながらカウンター越しからジークがたしなめた。「あら、弾...全文を読む

指きり

詩集 よりそう翼

2013.04.24 (Wed)

 花がほころぶようにふんわりと微笑んで形のない約束を交わしそっと指きりしよう目には見えない想いと耳には聞こえない言葉と手に触れることのできないあなたの優しさふと唇からこぼれ落ちるのはつかめないかおらない揺れ動くそんな曖昧模糊としたメロディ今はまだ定まらないハミングに乗せて優しいあなたにふさわしい言葉を探す近くにいる時も遠くにいる時も心の小指をからめてお互いを生きているいつの日かあなたのために幸福に似...全文を読む

言葉の棘

詩集 よりそう翼

2013.04.25 (Thu)

 言葉の棘はナイフのようにいつも大きくて奥深くまで刺さりすぎ抜いてしまえば血が噴き出すから治療することすらためらう それでも突き刺さったままだといつまでも傷が治らないから思い切って抜き去るけれど長く強く痛むんだ傷がふさがったとしてもふとした瞬間にかさぶたがはがれやっぱり痛みだしうっすらと血をにじませるいつまでも治らない言葉の傷どうせ同じ棘なら野薔薇の棘のようにすぐ側にいるからと小さく自己主張するあな...全文を読む

夜の空を見上げ

詩集 よりそう翼

2013.04.26 (Fri)

 昼の喧騒は燃え盛る太陽を受けくっきりと影を落としながら揺れ動く木漏れ日のように一時もとどまらない追い立てられるうちに月と星の時間になっていたとふとした瞬間に空を見上げて知る慌ただしい日常から意識だけでも抜け出すために深呼吸夜の空を見上げ深い息をひとつふたつといくつも重ね風が運んでくるのは明日に向かう静寂だと耳をすませる思い浮かべるのはどこかにいる誰かではなくて確かな言葉をくれる大切なあなた耳に届く...全文を読む

強欲

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.27 (Sat)

 たとえば地球儀のように手の中でクルリと回しほんの一瞬で世界一周そんなふうに時間も人の想いも指先一つで自由自在に操ることができたらいいのに地位も名誉もきらびやかな宝飾も目に見える財の証はなにもいらない求めるのはありふれた言葉やなにげない気遣い感謝して嬉しいと告げるその瞬間が絶えまなく訪れることそれは無欲ではなくてむしろ強欲な望みなのだと私は知っているそうあなたが発してくれる愛しい言葉に満たされたいと...全文を読む

必要なもの

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.28 (Sun)

 星を見るためには望遠鏡が必要海にこぎ出るには船が必要風を見るためにはタンポポの綿毛を飛ばし夢を見るためにはやわらかな毛布を用意し微笑むためには優しい絵本を読むのですならば私がここにいるためには何が必要なのでしょうか?聞かなくてもわかっているはずだといたずらに笑っているのはあなたですね?哀しい歌が聴きたいとそっとこぼれた雫を見ないフリをして素知らぬ顔でいるけれど素直になれば惑うこともなくなるさなんて...全文を読む

そのうち僕らは死ぬでしょう

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.29 (Mon)

 そのうち僕らは死ぬでしょう生れ落ちたその日から脈打つ鼓動が示すのは終焉までのカウントダウン事故も事件も起こらない特別なことなどなにもない穏やかに暮らすだけそんなありふれた時間をなんとなく過ごしたとしてもその瞬間は訪れる息をするほど簡単にそのうち僕らは死ぬでしょうそれでもいつか息絶えるその時に側にいるのは君でありますように黄泉の旅路をたどるなら手を携えて共に逝こうかいつまでもどこまでも君と共にただそ...全文を読む

五文字の幸せ

詩集 ヤマアラシのジレンマ 1

2013.04.30 (Tue)

 人は人他人は他人百人いるならば百通りの幸せがある当たり前の顔してそんなふうに言うけれど百通りの幸せってどんなものなの?だけどそれは百通りで終わらなくて千人いれば千通り生きている人の数だけ数え切れないほどあるはずだよね幸せって幸せってありすぎてわからないでも私が感じる幸せは短くて簡単でほんの五文字で事足りる見えなくてつかめなくてあいまいだけどあなただけがくれる言葉特別ではないけど特別だからそれだけで...全文を読む

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プロフィール

猫乃あお

Author:猫乃あお
はじめまして!
基本はほっこりで、自分ペースで楽しんでいます♪
恋愛・日常・友情などをテーマにした、オリジナル小説や詩も掲載しています。
著作権は放棄していません。
※無断転載・無断引用を固く禁じます。

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